財務・会計 ⑨初級編_企業価値評価_21問〜25問

問21:企業価値評価のマルチプル法において、「EV/EBIT倍率」よりも「EV/EBITDA倍率」が好まれることが多い理由はどれか。

  • A:EBITDAは減価償却費という非資金費用を加算して計算されるため、償却ルールが異なる企業間の比較に適しているから
  • B:計算式が短いから
  • C:負債を考慮しなくて良いから
  • D:税率が不要だから
  • E:売上高に近いから
【第21問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:EBITはEBITDA から減価償却費を差し引いた指標であるため企業間で異なる設備投資規模・償却方針の影響を受けやすくEBITDAはその影響を除いて事業の実質的なキャッシュ創出力で比較できるという優位性として適切。
・B:計算式の長短はEV/EBITDA倍率が選ばれる主な理由ではないため不適切。
・C:EVは負債を含む企業価値全体を示すためEBITDA倍率でも負債構造の影響を完全に無視はできないため不適切。
・D:EBITDAはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationであり利息と税引前の概念を含むが税率が完全に不要とは言えないため不適切。
・E:EBITDAは売上高よりも収益性を示す概念であり「売上高に近い」という説明は不正確であるため不適切。


問22:DCF法による株主価値の算定で、「有利子負債」にはどのようなものが含まれるか。

  • A:買掛金
  • B:借入金、社債、割引手形など利息の発生を伴うすべての負債
  • C:未払金
  • D:前受金
  • E:従業員預り金
【第22問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:買掛金は仕入先への支払い義務であり利息が発生しない無利子負債であるため有利子負債には含まれないため不適切。
・B:有利子負債とは利息コストを伴う負債の総称であり短期・長期借入金・社債・割引手形等が含まれDCF法では企業価値から有利子負債を控除して株主価値を算定するため適切。
・C:未払金は短期的な支払い義務であり利息が発生しない無利子負債であるため不適切。
・D:前受金は顧客から事前に受け取った代金であり利息が発生しない負債であるため不適切。
・E:従業員預り金は源泉所得税等の一時的な預り金であり利息が発生しないため有利子負債には含まれないため不適切。


問23:CAPMで「市場ポートフォリオ」を想定する理由はどれか。

  • A:計算が一番楽だから
  • B:銀行が好きだから
  • C:株主全員で保有しているから
  • D:税務調査のため
  • E:投資家が保有するすべてのリスク資産の集合体を基準とすることで、効率的な市場の期待収益率を測れるから
【第23問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:計算の容易さはCAPMが市場ポートフォリオを採用する本質的な理由ではないため不適切。
・B:市場ポートフォリオは金融理論上の概念であり銀行の好みとは無関係であるため不適切。
・C:市場ポートフォリオは全投資家が保有する全リスク資産の集合体の概念であり「株主全員」に限定されるものではないため不適切。
・D:税務調査は市場ポートフォリオを想定する理由とは全く無関係であるため不適切。
・E:CAPMは効率的市場仮説に基づき全ての投資家が保有するリスク資産の加重平均ポートフォリオ(市場ポートフォリオ)を基準にすることで体系的リスク(ベータ)と期待リターンの関係を理論的に導出できるため適切。


問24:DCF法において、企業が「成長期」にある場合、予測期間をどう設定するのが一般的か。

  • A:1年で十分である
  • B:予測は不可能なので設定しない
  • C:半年とする
  • D:成長率の収束を見極めるために長めに設定する(通常5〜10年)
  • E:ずっと一定にする
【第24問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:1年では成長過程を十分に捉えられず継続価値の計算基礎が不安定になるため不適切。
・B:将来予測に不確実性はあるが事業計画に基づく予測を設定することがDCF法の前提であるため不適切。
・C:半年は成長過程を評価するには短すぎるため不適切。
・D:成長期の企業は高い成長率を維持する期間が続くためその成長が安定化(収束)するまでの期間を詳細予測期間として設定することが必要であり通常5〜10年の長めの設定が一般的であるため適切。
・E:成長期は成長率が逓減しながら安定化していくプロセスを経るため一定という仮定は実態に合わないため不適切。


問25:DCF法計算において、企業価値が算出された後、その「企業価値」とは具体的に何を指しているか。

  • A:株主だけの価値
  • B:銀行だけの価値
  • C:従業員の価値
  • D:国の価値
  • E:負債保有者と株主の双方に帰属する、事業から得られるキャッシュフローの総価値
【第25問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:株主だけの価値は株式価値(Equity Value)であり企業価値からネットデットを差し引いた後に算出されるため不適切。
・B:銀行(債権者)だけの価値は有利子負債の時価相当額であり企業価値全体とは異なるため不適切。
・C:従業員の価値は人的資本の概念であり財務上の企業価値とは異なる概念であるため不適切。
・D:国にとっての価値は税収等を含む社会的・経済的概念であり投資家向けの企業価値評価とは異なるため不適切。
・E:DCF法で算出する企業価値(Enterprise Value=EV)は事業から生まれるFCFの現在価値の合計であり債権者に帰属する負債部分と株主に帰属する株式部分の双方を含む企業全体の価値を示すため適切。


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