財務・会計 ⑨初級編_企業価値評価_16問〜20問

問16:CAPMで用いる「リスクフリーレート」に国債利回りを使う最大の理由はどれか。

  • A:国債が最も利益が出るから
  • B:国債は国家が債務を負っており、デフォルトリスクが極めて低いため無リスク資産とみなされるから
  • C:国債の価格が安定しているから
  • D:国債の売買が簡単だから
  • E:税法で定められているから
【第16問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:国債は利回りが低くリスクが低いがゆえに利益が最も出る投資対象ではないため不適切。
・B:リスクフリーレートは理論上デフォルトリスクがゼロの資産の利回りを指し国家が発行する国債はデフォルトリスクが極めて低い無リスク資産として最も近似的にこの定義を満たすため適切。
・C:価格の安定性はリスクフリーレートに国債を使う主な理由ではなくデフォルトリスクの低さが主因であるため不適切。
・D:売買の容易さ(流動性)は追加的なメリットではあるが最大の理由はリスクの低さであるため不適切。
・E:税法上の規定ではなく CAPMの理論的定義に基づく選択であるため不適切。


問17:DCF法で現在価値を求める際に「期中平均」を用いることが一般的である理由はどれか。

  • A:計算が簡単だから
  • B:株主が好むから
  • C:利益が増えるから
  • D:キャッシュフローは一年を通じて発生するため、期末発生と仮定するよりも現実に即しているから
  • E:負債が減るから
【第17問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:期中平均の計算は期末仮定より複雑になる場合もあり簡単さが理由ではないため不適切。
・B:株主の好みは期中平均を採用する理論的根拠にはならないため不適切。
・C:期中平均の仮定は会計上の利益とは無関係であるため不適切。
・D:期末発生(年度末一点)の仮定よりも期中平均(年間を通じた発生)の仮定の方が現実の事業活動でCFが連続的に生じることを反映しておりNPVが若干高くなる現実に近い評価が可能となるため適切。
・E:負債の変動は期中平均の採用理由とは無関係であるため不適切。


問18:DCF法において、将来予測の精度が低い場合、どのような対応が企業価値算定の実務として一般的か。

  • A:複数のシナリオ(楽観的、悲観的、標準的)を設定し、価値の幅で評価する
  • B:計算をあきらめる
  • C:特定の数字だけを信じる
  • D:過去の数字をそのまま使う
  • E:税率を調整する
【第18問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:不確実性が高い場合は楽観・標準・悲観の複数シナリオを設定してそれぞれの企業価値を算出し価値のレンジ(幅)として表示するシナリオ分析が実務上の標準的な対応として適切。
・B:計算を中止することは実務的な対応ではなく不確実性を認識した上で適切な評価を行うことが求められるため不適切。
・C:特定の数字のみを信じることは不確実性を無視した過信につながるため不適切。
・D:過去の数字をそのまま将来に当てはめることは成長性・環境変化を無視した過去依存の評価になるため不適切。
・E:税率の調整は将来予測の精度が低い場合の対応としては本質的でないため不適切。


問19:企業価値評価において「負債の節税効果」がWACCを押し下げる論理的なプロセスはどれか。

  • A:税金がなくなるから
  • B:支払利息の損金算入により、実質的な利息負担が軽減されることで資本コストの加重平均が下がるから
  • C:負債が増えると銀行が喜ぶから
  • D:株主が配当を減らすから
  • E:資産が減るから
【第19問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:節税効果で税負担が軽減されるが税金そのものがなくなるわけではないため不適切。
・B:負債コスト(税引後)=借入金利×(1-法人税率)の式に示されるようにタックスシールド効果により負債コストが実質的に低下しその低コストの負債のウェイトが高まることでWACCが押し下げられるという論理として適切。
・C:銀行の感情はWACCを押し下げる論理的プロセスの説明にはならないため不適切。
・D:株主配当の減少とWACCの低下は直接因果関係がないため不適切。
・E:節税効果は資産の減少ではなく税費用の軽減を通じて機能するため不適切。


問20:DCF法における「現在価値(PV)」の計算において、割引率に市場の期待収益率を使う理由はどれか。

  • A:銀行と競争するため
  • B:税金を計算しやすくするため
  • C:資金調達の機会費用を反映させ、その資本が他で運用された場合に期待できるリターンと比較可能にするため
  • D:利益の目標を設定するため
  • E:株主の数に合わせるため
【第20問:正解と解説】

正解:Option_C
【解説】
・A:割引率は市場競争とは無関係な理論的概念に基づくものであるため不適切。
・B:税金の計算は割引率設定の目的ではなく機会費用の反映が本質であるため不適切。
・C:投資の割引率は機会費用の概念に基づいており同じ資本を他の投資機会に回した場合に期待できる収益率(市場の要求収益率)と比較することで投資案の経済的合理性を評価するためであり適切。
・D:利益目標の設定は割引率の役割ではなくハードルレートとしての比較基準が役割であるため不適切。
・E:株主数と割引率設定は直接関係しないため不適切。


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