問6:関税の余剰分析(小国のケース)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:小国が輸入財に関税を課すと、国内価格が上昇して国内生産が増え輸入が減り、消費者余剰の減少の一部が生産者余剰の増加と関税収入になるが、生産の歪みと消費の歪みによる死荷重が残り総余剰は減少する
- B:小国が関税を課すと、交易条件が改善して総余剰が増加する
- C:小国が輸入関税を課すと、国内価格は変化せず消費者余剰も変わらない
- D:小国が関税を課すと、消費者余剰の減少がすべて関税収入に転化するため死荷重は生じない
- E:小国が輸入財に関税を課すと、国内生産は減少し輸入が増加する
【第6問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。小国が輸入関税を課すと国内価格が上昇し国内生産増・輸入減となり、消費者余剰の減少の一部が生産者余剰と関税収入になるが、生産・消費の歪みによる死荷重が残り総余剰は減少する。
・B
不適切。小国は国際価格に影響を与えられないため交易条件は改善せず、総余剰は減少するため増加するとする記述は誤りである。
・C
不適切。小国が関税を課すと国内価格は関税分だけ上昇し消費者余剰も減少するため、変化しないとする記述は誤りである。
・D
不適切。関税では消費者余剰の減少のうち生産・消費の歪みの部分が死荷重として残るため、死荷重は生じないとする記述は誤りである。
・E
不適切。輸入関税により国内価格が上がると国内生産は増加し輸入は減少するため、生産減少・輸入増加とする記述は誤りである。
問7:輸入割当(数量制限)と関税の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:輸入割当では、必ず政府に関税収入と同等の収入が入る
- B:輸入割当は輸入数量を直接制限して国内価格を引き上げるが、関税では発生する関税収入に相当する分が、割当では輸入枠を得た者のレント(割当レント)として民間に帰属しうる点で異なる
- C:輸入割当と関税は、国内価格・国内生産・輸入量への影響が全く異なる
- D:輸入割当は、国内価格を引き下げる効果を持つ
- E:輸入割当では、国内需要が増加しても輸入量が自動的に増えるため国内価格は安定する
【第7問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。輸入割当では関税収入に相当する分が輸入枠保有者のレントになりうるため、必ず政府に関税収入と同等の収入が入るとする記述は誤りである。
・B
適切。輸入割当は輸入数量を直接制限して国内価格を引き上げるが、関税収入に相当する分が割当レントとして民間に帰属しうる点で関税と異なる。
・C
不適切。適切に設定すれば輸入割当と関税は国内価格・生産・輸入量への影響が同等になりうるため、全く異なるとする記述は誤りである。
・D
不適切。輸入割当は輸入を制限して国内価格を引き上げる効果を持つため、引き下げるとする記述は誤りである。
・E
不適切。輸入割当は輸入量を一定に制限するため、需要増加時に輸入が自動的に増えず国内価格はむしろ上昇しやすい。
問8:大国による最適関税に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:小国は関税によって交易条件を改善でき、最適関税によって利益を得られる
- B:最適関税は、関税率を高くするほど自国の利益が大きくなる
- C:大国が輸入財に関税を課すと国際価格を引き下げて交易条件を改善できるため、交易条件改善の利益と関税による歪みの損失が釣り合う水準に最適関税が存在しうるが、相手国の報復を招けば双方が損失を被りうる
- D:大国の最適関税は、常に自由貿易より世界全体の総余剰を高める
- E:大国が関税を課しても、国際価格には全く影響を与えられない
【第8問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。小国は国際価格に影響できず交易条件を改善できないため、最適関税で利益を得られるとする記述は誤りである。
・B
不適切。関税率を高くしすぎると歪みの損失が交易条件改善の利益を上回るため、高いほど利益が大きいとする記述は誤りである。
・C
適切。大国は関税で国際価格を下げ交易条件を改善できるため最適関税が存在しうるが、相手国の報復を招けば双方が損失を被りうる。
・D
不適切。最適関税は自国の利益を高めうるが世界全体の総余剰は自由貿易より減少するため、世界全体の総余剰を高めるとする記述は誤りである。
・E
不適切。大国は輸入量が大きく国際価格に影響を与えうるため、全く影響を与えられないとする記述は誤りである。
問9:経済統合と貿易創出効果・貿易転換効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:貿易創出効果とは、域外のより低費用の供給者から域内の高費用の供給者へ輸入先が切り替わることを指す
- B:貿易転換効果は、常に加盟国の経済厚生を高める望ましい効果である
- C:関税同盟は、必ず加盟国と世界全体の双方の経済厚生を高める
- D:関税同盟の形成による貿易創出効果は域内の高費用生産が低費用の加盟国からの輸入に置き換わり厚生を高める効果、貿易転換効果は域外の低費用供給者から域内の高費用供給者へ輸入先が切り替わり厚生を損なう効果であり、両者の大小で純効果が決まる
- E:貿易創出効果は加盟国の厚生を損なう効果である
【第9問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。低費用の域外供給者から高費用の域内供給者へ切り替わるのは貿易転換効果であり、貿易創出効果の説明としては誤りである。
・B
不適切。貿易転換効果は域外の低費用供給者から域内の高費用供給者へ輸入が転換し厚生を損なう効果であり、常に高めるとする記述は誤りである。
・C
不適切。関税同盟は貿易転換効果により加盟国や世界全体の厚生を損なう場合もあるため、必ず双方を高めるとする記述は誤りである。
・D
適切。貿易創出効果は域内の高費用生産が低費用加盟国からの輸入に置き換わり厚生を高め、貿易転換効果は域外の低費用供給者から域内の高費用供給者へ切り替わり厚生を損なう効果で、両者の大小で純効果が決まる。
・E
不適切。貿易創出効果は域内の高費用生産を低費用の輸入に置き換え厚生を高める効果であり、損なうとする記述は誤りである。
問10:産業内貿易に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:産業内貿易は、比較優位の差が大きい国どうしの間でのみ生じる
- B:産業内貿易は、リカードの比較優位理論によって完全に説明できる
- C:産業内貿易は、要素賦存の差が大きいほど活発になる
- D:産業内貿易は、農産物と工業製品のように異なる産業間で財を交換することを指す
- E:産業内貿易は同一産業内で差別化された財を相互に輸出入する貿易であり、規模の経済や製品差別化・消費者の多様性への選好によって、要素賦存や技術が似通った先進国間でも活発に生じうる
【第10問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。産業内貿易はむしろ要素賦存や技術が似通った国どうしで活発に生じるため、比較優位の差が大きい国どうしのみとする記述は誤りである。
・B
不適切。産業内貿易は規模の経済や製品差別化で説明されるものであり、リカードの比較優位理論のみで完全に説明できるとする記述は誤りである。
・C
不適切。産業内貿易は要素賦存の差が小さい似通った国どうしで活発になる傾向があるため、差が大きいほど活発とする記述は誤りである。
・D
不適切。異なる産業間で財を交換するのは産業間貿易であり、産業内貿易は同一産業内の差別化財の相互取引を指す。
・E
適切。産業内貿易は同一産業内で差別化された財を相互に輸出入する貿易であり、規模の経済や製品差別化により要素賦存の似た先進国間でも活発に生じうる。

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