問1:比較優位と絶対優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:ある国が両財の生産で他国より効率的(絶対優位)であっても、機会費用がより小さい財に比較優位を持ち、各国が比較優位を持つ財に特化して貿易することで双方が利益を得られる
- B:両財の生産で絶対優位を持つ国は、どちらの財についても比較優位を持つ
- C:比較優位は労働生産性の絶対水準によって決まり、機会費用とは無関係である
- D:ある国が両財ともに絶対劣位であれば、その国はいかなる財にも比較優位を持たず貿易の利益を得られない
- E:比較優位に基づく貿易は、一方の国のみが利益を得る
【第1問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。両財で絶対優位を持つ国でも機会費用がより小さい財に比較優位を持ち、各国が比較優位財に特化して貿易すれば双方が利益を得られる。
・B
不適切。絶対優位を両財で持つ国でも、機会費用の小さい一方の財にしか比較優位を持たないため、どちらの財についても比較優位を持つとする記述は誤りである。
・C
不適切。比較優位は生産の機会費用の相対的な小ささで決まるものであり、機会費用と無関係とする記述は誤りである。
・D
不適切。両財ともに絶対劣位でも機会費用のより小さい財に比較優位を持ちうるため、比較優位を持たず利益を得られないとする記述は誤りである。
・E
不適切。比較優位に基づく貿易は双方の国が利益を得られるものであり、一方のみが利益を得るとする記述は誤りである。
問2:リカードの比較生産費説に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:リカード・モデルでは、各国の生産技術は同一であると仮定される
- B:リカード・モデルでは各国の労働生産性(技術)の差が比較優位の源泉であり、各国が比較優位を持つ財に完全特化して貿易することで世界全体の生産量が増加する
- C:リカード・モデルでは、資本と労働の2つの生産要素を用いて比較優位を説明する
- D:リカード・モデルでは、比較優位を持つ財に特化しても世界全体の生産量は変わらない
- E:リカード・モデルによれば、労働生産性が絶対的に高い国だけが貿易の利益を得る
【第2問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。リカード・モデルは各国の労働生産性(技術)の差を比較優位の源泉とするものであり、生産技術が同一と仮定するとする記述は誤りである。
・B
適切。リカード・モデルでは労働生産性の差が比較優位の源泉であり、各国が比較優位財に完全特化して貿易することで世界全体の生産量が増加する。
・C
不適切。リカード・モデルは労働のみを生産要素とする1要素モデルであり、資本と労働の2要素を用いるとする記述は誤りである(2要素はヘクシャー=オリーン・モデル)。
・D
不適切。比較優位財への特化により世界全体の生産量は増加するため、変わらないとする記述は誤りである。
・E
不適切。リカード・モデルでは比較優位に基づき両国が貿易の利益を得られるため、絶対的に高い国だけとする記述は誤りである。
問3:交易条件に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:交易条件とは、自国通貨と外国通貨の交換比率(為替レート)を指す
- B:交易条件が悪化するとは、輸出品1単位で輸入品をより多く得られるようになることを指す
- C:交易条件は輸出財と輸入財の相対価格(輸出価格÷輸入価格)で表され、これが改善すると輸出品1単位でより多くの輸入品を得られるようになり、その国の実質的な購買力が高まる
- D:交易条件は、貿易利益の大きさとは無関係である
- E:輸入価格が輸出価格より速く上昇すると、交易条件は改善する
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。交易条件は輸出財と輸入財の相対価格を指すものであり、為替レートそのものとする記述は誤りである。
・B
不適切。輸出品1単位でより多くの輸入品を得られるようになるのは交易条件の改善であり、悪化とする記述は誤りである。
・C
適切。交易条件は輸出価格÷輸入価格で表され、これが改善すると輸出品1単位でより多くの輸入品を得られ実質的な購買力が高まる。
・D
不適切。交易条件は貿易利益の大きさに影響するものであり、無関係とする記述は誤りである。
・E
不適切。輸入価格が輸出価格より速く上昇すると交易条件は悪化するため、改善するとする記述は誤りである。
問4:ヘクシャー=オリーンの定理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:ヘクシャー=オリーンの定理は、各国の労働生産性の差のみによって貿易パターンを説明する
- B:ヘクシャー=オリーンの定理では、各国は自国に相対的に希少な生産要素を集約的に用いる財を輸出するとされる
- C:ヘクシャー=オリーンの定理は、生産要素の国際間移動が自由であることを前提とする
- D:ヘクシャー=オリーンの定理は、各国が相対的に豊富に賦存する生産要素を集約的に用いる財に比較優位を持ち、その財を輸出すると説明する
- E:ヘクシャー=オリーンの定理によれば、各国の要素賦存は貿易パターンに影響しない
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。労働生産性の差で貿易を説明するのはリカード・モデルであり、ヘクシャー=オリーンの定理は要素賦存の差に基づく。
・B
不適切。ヘクシャー=オリーンの定理では自国に相対的に豊富な要素を集約的に用いる財を輸出するのであり、希少な要素を用いる財とする記述は誤りである。
・C
不適切。ヘクシャー=オリーンの定理は生産要素が国際間で移動しないことを前提とするものであり、自由に移動するとする記述は誤りである。
・D
適切。ヘクシャー=オリーンの定理は、各国が相対的に豊富に賦存する要素を集約的に用いる財に比較優位を持ちその財を輸出すると説明する。
・E
不適切。ヘクシャー=オリーンの定理は要素賦存の差を貿易パターンの源泉とするため、影響しないとする記述は誤りである。
問5:ストルパー=サミュエルソンの定理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:ストルパー=サミュエルソンの定理は、貿易がすべての生産要素の実質報酬を等しく高めると述べる
- B:ストルパー=サミュエルソンの定理によれば、貿易は各国の要素賦存量そのものを変化させる
- C:ストルパー=サミュエルソンの定理は、貿易によって世界全体の生産量が増えることのみを示す
- D:ストルパー=サミュエルソンの定理は、関税が国内のすべての生産要素の報酬を一律に引き下げると述べる
- E:ストルパー=サミュエルソンの定理は、ある財の相対価格の上昇がその財に集約的に用いられる生産要素の実質報酬を高め、他方の要素の実質報酬を低下させると述べる
【第5問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。ストルパー=サミュエルソンの定理は要素間で実質報酬に得失が生じることを示すものであり、すべての要素を等しく高めるとする記述は誤りである。
・B
不適切。同定理は財価格の変化と要素報酬の関係を示すものであり、要素賦存量そのものを変化させるとする記述は誤りである。
・C
不適切。世界全体の生産量増加は貿易利益一般の話であり、同定理は要素報酬の分配への影響を示すものである。
・D
不適切。関税による輸入財の相対価格上昇はその財に集約的な要素の報酬を高めるなど要素間で得失が異なるため、一律に引き下げるとする記述は誤りである。
・E
適切。ストルパー=サミュエルソンの定理は、ある財の相対価格の上昇がその財に集約的な要素の実質報酬を高め、他方の要素の実質報酬を低下させると述べる。

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