問16:財政政策と金融政策のポリシーミックスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:拡張的財政政策と拡張的金融政策を組み合わせると、利子率の上昇を抑えつつ所得を拡大でき、クラウディングアウトを緩和できる
- B:拡張的財政政策に緊縮的金融政策を組み合わせると、クラウディングアウトが緩和される
- C:ポリシーミックスとは、財政政策のみを段階的に発動していくことを指す
- D:拡張的財政政策と拡張的金融政策の併用は、必ず物価を下落させる
- E:金融政策と財政政策は互いに打ち消し合うため、組み合わせても効果は生じない
【第16問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。拡張的財政政策に拡張的金融政策を組み合わせれば利子率上昇を抑えつつ所得を拡大でき、クラウディングアウトを緩和できる。
・B
不適切。拡張的財政政策に緊縮的金融政策を組み合わせると利子率がさらに上昇し、クラウディングアウトはむしろ強まる。
・C
不適切。ポリシーミックスは財政政策と金融政策を組み合わせて運営することを指し、財政政策のみの段階的発動ではない。
・D
不適切。拡張的な財政・金融政策の併用は総需要を高めるため物価を上昇させる方向に働き、必ず下落させるとする記述は誤りである。
・E
不適切。財政政策と金融政策は組み合わせ方によって相乗効果を持ちうるため、必ず打ち消し合うとする記述は誤りである。
問17:貨幣乗数(信用乗数)の決定要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:預金準備率が高いほど、また現金・預金比率が高いほど貨幣乗数は大きくなる
- B:現金・預金比率をa、預金準備率をrとすると、貨幣乗数は(a+1)/(a+r)などで表され、預金準備率や現金・預金比率が高いほど貨幣乗数は小さくなる
- C:貨幣乗数は常に1に等しい
- D:現金・預金比率がゼロに近づくと、貨幣乗数は1に近づく
- E:貨幣乗数はマネタリーベースの絶対額によって決まり、準備率とは無関係である
【第17問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。準備率や現金・預金比率が高いほど貨幣乗数はむしろ小さくなるため、大きくなるとする記述は誤りである。
・B
適切。貨幣乗数は(a+1)/(a+r)などで表され、現金・預金比率aや預金準備率rが高いほど小さくなる。
・C
不適切。貨幣乗数は通常1より大きく、準備率等に応じて変化するため常に1とはならない。
・D
不適切。現金・預金比率がゼロに近づくと貨幣乗数は1/rに近づき大きくなるため、1に近づくとする記述は誤りである。
・E
不適切。貨幣乗数は準備率や現金・預金比率で決まるのであり、マネタリーベースの絶対額で決まるわけではない。
問18:名目貨幣供給、物価水準、実質貨幣供給の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:名目貨幣供給が一定でも、物価が上昇すると実質貨幣供給は増加する
- B:物価が2倍になると、同じ名目貨幣供給のもとで実質貨幣供給も2倍になる
- C:名目貨幣供給が一定のとき、物価水準が上昇すると実質貨幣供給(M/P)は減少し、LM曲線を左方へシフトさせる
- D:実質貨幣供給は物価水準の影響を受けない
- E:物価の下落は実質貨幣供給を減少させ、LM曲線を左方へシフトさせる
【第18問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。名目貨幣供給が一定なら物価上昇は実質貨幣供給M/Pを減少させるため、増加するとする記述は誤りである。
・B
不適切。物価が2倍になると実質貨幣供給M/Pは半分になるため、2倍になるとする記述は誤りである。
・C
適切。名目貨幣供給が一定のとき、物価上昇は実質貨幣供給M/Pを減少させ、LM曲線を左方へシフトさせる。
・D
不適切。実質貨幣供給M/Pは物価水準Pに反比例するため、物価の影響を受けないとする記述は誤りである。
・E
不適切。物価の下落は実質貨幣供給を増加させLM曲線を右方へシフトさせるため、記述は方向が逆である。
問19:IS曲線とLM曲線の傾きが政策効果に与える影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:IS曲線が垂直のとき、金融政策は所得を大きく変化させる
- B:LM曲線が水平のとき、金融政策が最も有効になる
- C:IS曲線が水平のとき、財政政策は完全に無効になる
- D:LM曲線が垂直(貨幣需要が利子率に反応しない)のとき、拡張的財政政策は利子率だけを上げて所得を増やせず、金融政策が強い効果を持つ
- E:IS曲線・LM曲線の傾きは政策効果の大小には影響しない
【第19問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。IS曲線が垂直(投資が利子率に反応しない)のときは利子率が下がっても投資が動かず、金融政策の所得効果は乏しい。
・B
不適切。LM曲線が水平(流動性のわな)のときは金融政策が無効になり、最も有効とする記述は誤りである。
・C
不適切。IS曲線が水平でも財政政策が無効になるとは限らず、記述は一般的に成り立たない。
・D
適切。LM曲線が垂直のときは拡張的財政政策が利子率だけを上げ所得を増やせず(完全なクラウディングアウト)、金融政策が強い効果を持つ。
・E
不適切。IS・LM曲線の傾き(弾力性)は財政・金融政策の効果の大小を左右するため、影響しないとする記述は誤りである。
問20:貨幣数量説と現代のインフレ論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:マネタリストは、短期・長期を問わず貨幣供給量の変化が実質産出に持続的な影響を与えると主張する
- B:ケンブリッジ方程式M=kPYにおいて、kは貨幣の流通速度そのものを表す
- C:貨幣数量説によれば、インフレは常に財政赤字のみによって引き起こされる
- D:貨幣の中立性が成立する場合、貨幣供給の増加は長期的に実質GDPを比例的に高める
- E:マネタリストは、長期的にはインフレが貨幣的現象であるとし、貨幣供給量の伸びが経済成長率を大きく上回るとインフレが生じやすいと主張する
【第20問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。マネタリストは長期的には貨幣供給の変化が実質産出ではなく物価に反映される(貨幣の中立性)と考えるため、持続的な実質効果を主張するとする記述は誤りである。
・B
不適切。ケンブリッジ方程式のkは人々が所得のうち貨幣で保有しようとする割合(マーシャルのk)であり、流通速度そのものではない(流通速度はその逆数に対応)。
・C
不適切。貨幣数量説はインフレを貨幣的現象とみなすものであり、財政赤字のみが原因とする記述は誤りである。
・D
不適切。貨幣の中立性は貨幣供給の増加が長期的に物価に比例的に反映されることを意味し、実質GDPを高めるとする記述は誤りである。
・E
適切。マネタリストは長期のインフレを貨幣的現象とみなし、貨幣供給量の伸びが経済成長率を大きく上回るとインフレが生じやすいとする。

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