問11:消費者物価指数(CPI)の性質に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:CPIはラスパイレス方式で作成されるため、価格が上昇した財からの代替行動を反映せず、物価上昇を上方バイアスをもって示しやすい
- B:CPIには持ち家の帰属家賃が含まれないため、住宅価格の変動を完全に反映する
- C:CPIは調査対象の品目やウェイトを毎期改定するため、代替バイアスは原理的に生じない
- D:CPIは輸入品を対象から除外しているため、輸入物価の変動の影響を受けない
- E:CPIとGDPデフレーターは同一の作成方式であり、常に同じ動きを示す
【第11問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。CPIは基準時のウェイトを固定するラスパイレス方式であり、価格上昇財からの代替を反映しないため、物価上昇を過大に示す上方バイアスを持ちやすい。
・B
不適切。CPIは持ち家の帰属家賃を含めて算出されており、また住宅の資産価格そのものを完全に反映するわけではない。
・C
不適切。CPIはウェイトを毎期改定するわけではなく数年おきの基準改定であり、その間は代替バイアスが生じうる。
・D
不適切。CPIは国内で消費される輸入品も対象に含むため、輸入物価の変動の影響を受ける。
・E
不適切。CPIはラスパイレス方式、GDPデフレーターはパーシェ方式であり作成方式が異なるため、両者の動きは必ずしも一致しない。
問12:GDPデフレーターと消費者物価指数(CPI)の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:GDPデフレーターは輸入品の価格を直接含むが、CPIは輸入品を含まない
- B:GDPデフレーターは国内で生産された財を対象とするため、原油など輸入財の価格上昇は(他の条件が一定なら)デフレーターを直接押し上げないが、CPIは輸入消費財の価格上昇で上昇しうる
- C:CPIは国内で生産された投資財を含むが、GDPデフレーターは消費財のみを対象とする
- D:GDPデフレーターとCPIは対象範囲が完全に一致するため、両者の乖離は統計上の誤差にすぎない
- E:GDPデフレーターは家計の消費のみを対象とし、政府支出や投資は含まない
【第12問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。GDPデフレーターは国内生産物を対象とするため輸入品価格を直接は含まず、CPIは国内消費される輸入品を含みうるため、記述は関係が逆である。
・B
適切。GDPデフレーターは国内生産物を対象とするため輸入財の価格上昇を直接は反映しにくい一方、CPIは輸入消費財の価格上昇を反映するため、両者は乖離しうる。
・C
不適切。CPIは家計が消費する財・サービスを対象とし投資財は基本的に含まず、GDPデフレーターは消費だけでなく投資・政府支出等も対象とする。
・D
不適切。両者は対象範囲(生産物か消費財か、輸入品の扱い等)が異なり、乖離は単なる誤差ではなく構造的に生じる。
・E
不適切。GDPデフレーターは家計消費だけでなく投資・政府支出・純輸出を含む国内総生産全体を対象とする。
問13:国内概念(Domestic)と国民概念(National)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:国内概念は居住者が生み出した所得を、国民概念は領土内で生み出された生産を表す
- B:外国人労働者が日本国内で得た賃金は、日本の国内概念には含まれず国民概念にのみ含まれる
- C:国内概念は一国の領土内で行われた生産活動を、国民概念はその国の居住者による生産・所得を捉える
- D:日本の居住者が海外で得た所得は、日本の国内概念(GDP)に計上される
- E:国内概念と国民概念の差は固定資本減耗の有無によって生じる
【第13問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。国内概念は領土内の生産、国民概念は居住者の所得を表すものであり、記述は両者の対応が逆である。
・B
不適切。外国人労働者が日本国内で得た賃金は、領土内での生産に対応するため国内概念(GDP)に含まれる。
・C
適切。国内概念は領土内で行われた生産活動を、国民概念はその国の居住者による生産・所得を捉える概念である。
・D
不適切。居住者が海外で得た所得は国内での生産ではないためGDP(国内概念)には計上されず、GNI(国民概念)に含まれる。
・E
不適切。国内概念と国民概念の差は海外からの純所得受取によって生じるものであり、固定資本減耗(総概念と純概念の差)とは別の区分である。
問14:三面等価が事後的に成立する仕組みに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:企業が事前に計画した投資と家計の貯蓄は常に一致するため、三面等価は事前に成立する
- B:売れ残りが生じても、それは生産面のGDPから控除されることで三面が一致する
- C:需要が供給を上回り在庫が減少した場合、その減少分は支出面のGDPを増加させる
- D:需要が生産を下回り売れ残りが生じても、意図せざる在庫増加が在庫投資として支出面に計上されるため、生産面と支出面は事後的に一致する
- E:三面等価は価格が伸縮的に調整され市場が均衡する場合にのみ成立する
【第14問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。事前の投資計画と貯蓄は必ずしも一致せず、三面等価は事前の均衡ではなく事後の会計恒等式として成立する。
・B
不適切。売れ残りは生産面から控除されるのではなく、支出面に在庫投資として計上されることで三面が一致する。
・C
不適切。在庫減少は在庫投資のマイナスとして支出面のGDPを減少させる方向に働くのであり、増加させるとする記述は誤りである。
・D
適切。売れ残り(意図せざる在庫増)は在庫投資として支出面に計上されるため、生産面と支出面は事後的に必ず一致する。
・E
不適切。三面等価は在庫投資を含めることで成立する会計恒等式であり、価格の伸縮性や市場均衡の成否とは無関係に常に成立する。
問15:ある国の名目GDPが前年比で5%増加し、同期間のGDPデフレーターの上昇率(インフレ率)が2%であったとき、実質GDP成長率の近似値として最も適切なものはどれか。
- A:およそ7%
- B:およそ10%
- C:およそ2.5%
- D:およそ5%
- E:およそ3%
【第15問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。名目成長率とインフレ率を足すのは誤りであり、実質成長率は名目成長率からインフレ率を差し引く形で近似される。
・B
不適切。名目成長率とインフレ率を乗じる計算ではなく、両者の差を取る近似が用いられる。
・C
不適切。名目成長率をインフレ率で割る計算は誤りであり、実質成長率の近似としては差を用いる。
・D
不適切。実質成長率は名目成長率そのものではなく、インフレ率を控除した値となる。
・E
適切。実質GDP成長率は近似的に「名目成長率−インフレ率」で求められ、5%−2%=およそ3%となる。

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