問1:完全競争市場の成立条件に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:完全競争市場では、多数の売り手と買い手が存在し、財が同質で、参入・退出が自由で、市場参加者が完全な情報を持つことが前提となり、各企業は価格受容者(プライステイカー)となる
- B:完全競争市場では、少数の企業が価格支配力を持つ
- C:完全競争市場では、製品差別化によって各企業が独自の需要曲線を持つ
- D:完全競争市場では、参入・退出に大きな障壁が存在する
- E:完全競争企業は、自らの生産量を変えることで市場価格を操作できる
【第1問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。完全競争市場は多数の売り手・買い手、財の同質性、参入退出の自由、完全情報を前提とし、各企業は価格受容者となる。
・B
不適切。少数の企業が価格支配力を持つのは寡占市場であり、完全競争市場では各企業が価格受容者である。
・C
不適切。製品差別化により各企業が独自の需要曲線を持つのは独占的競争であり、完全競争市場では財は同質である。
・D
不適切。完全競争市場では参入・退出が自由であり、大きな障壁が存在するとする記述は誤りである。
・E
不適切。完全競争企業は価格受容者であり、生産量を変えても市場価格を操作できないため記述は誤りである。
問2:独占企業の利潤最大化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:独占企業の限界収入は価格に等しく、価格=限界費用となる点で利潤を最大化する
- B:独占企業は限界収入が限界費用に等しくなる生産量を選び、そのとき価格は限界費用(および限界収入)を上回るため、完全競争より生産量が少なく価格が高くなる
- C:独占企業は、平均費用が最小となる生産量を選ぶことで利潤を最大化する
- D:独占企業の限界収入曲線は、需要曲線と一致する
- E:独占企業は、需要曲線に沿って価格を自由に設定でき、いくらでも高い価格で好きな量を売れる
【第2問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。独占企業の限界収入は価格を下回り、利潤最大化点は価格=限界費用ではなく限界収入=限界費用である。
・B
適切。独占企業は限界収入=限界費用の生産量を選び、価格が限界費用を上回るため完全競争より生産量が少なく価格が高くなる。
・C
不適切。独占企業の利潤最大化点は限界収入=限界費用の点であり、平均費用最小の生産量を選ぶとは限らない。
・D
不適切。独占企業の限界収入曲線は需要曲線より下方に位置するため、需要曲線と一致するとする記述は誤りである。
・E
不適切。独占企業も右下がりの需要曲線に直面するため、量を増やせば価格を下げざるをえず、好きな量を高い価格で売れるとする記述は誤りである。
問3:独占による死荷重(厚生の損失)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:独占では価格が限界費用を下回るため、過剰生産による死荷重が生じる
- B:独占の死荷重は、消費者余剰がすべて独占企業に移転することによって生じる
- C:独占では生産量が完全競争より少なく価格が高くなり、生産量が社会的に最適な水準(価格=限界費用)に届かないことで死荷重(総余剰の損失)が生じる
- D:独占企業が存在しても、総余剰は完全競争と全く変わらない
- E:独占の死荷重は、独占企業の利潤の大きさにちょうど等しい
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。独占では価格が限界費用を上回り生産量が過少となるため、過剰生産・価格が限界費用を下回るとする記述は誤りである。
・B
不適切。死荷重は余剰の移転ではなく、取引が行われないことで失われる総余剰の純損失を指す。
・C
適切。独占では生産量が完全競争より少なく価格が高くなり、価格=限界費用の最適水準に届かないことで死荷重が生じる。
・D
不適切。独占では生産量が過少となり総余剰が完全競争より減少するため、全く変わらないとする記述は誤りである。
・E
不適切。死荷重は独占企業の利潤とは別の、取引が失われることによる純損失であり、利潤に等しいとする記述は誤りである。
問4:独占的競争市場に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:独占的競争市場では、各企業が完全に同質な財を生産する
- B:独占的競争市場では、参入・退出に大きな障壁があり、長期でも超過利潤が持続する
- C:独占的競争市場では、各企業が価格受容者として行動する
- D:独占的競争市場では製品差別化により各企業が右下がりの需要曲線に直面し、短期には超過利潤が生じうるが、参入が自由なため長期には利潤がゼロ(正常利潤のみ)となり、平均費用の最低点より少ない生産量となる超過生産能力が生じる
- E:独占的競争市場の長期均衡では、各企業が平均費用の最低点で生産する
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。独占的競争市場では製品差別化により財が異質であるため、完全に同質とする記述は誤りである。
・B
不適切。独占的競争市場は参入・退出が自由であり、長期には利潤がゼロとなるため超過利潤が持続するとする記述は誤りである。
・C
不適切。独占的競争企業は製品差別化により右下がりの需要曲線に直面し価格支配力を持つため、価格受容者とする記述は誤りである。
・D
適切。独占的競争市場では製品差別化で各企業が右下がりの需要曲線に直面し、長期には参入により利潤がゼロとなり超過生産能力が生じる。
・E
不適切。独占的競争の長期均衡では平均費用の最低点より少ない生産量(超過生産能力)となるため、最低点で生産するとする記述は誤りである。
問5:クールノー競争(数量競争の複占)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:クールノー競争では、各企業が相手の価格を所与として自らの価格を決定する
- B:クールノー競争の均衡生産量の合計は、独占の場合より少なくなる
- C:クールノー均衡では、各企業の生産量の合計が完全競争と一致する
- D:クールノー競争は、一方の企業が先に生産量を決め他方が追随する逐次手番のモデルである
- E:クールノー競争では各企業が相手の生産量を所与として自らの生産量を決め、均衡(相互の反応関数の交点)における総生産量は独占より多く完全競争より少なくなる
【第5問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。相手の価格を所与として価格を決めるのはベルトラン競争であり、クールノー競争は相手の生産量を所与として生産量を決める。
・B
不適切。クールノー競争の総生産量は独占より多くなるため、独占より少なくなるとする記述は誤りである。
・C
不適切。クールノー均衡の総生産量は完全競争より少なくなるため、一致するとする記述は誤りである。
・D
不適切。一方が先に生産量を決め他方が追随する逐次手番のモデルはシュタッケルベルグ競争であり、クールノー競争は同時手番である。
・E
適切。クールノー競争では各企業が相手の生産量を所与に自らの生産量を決め、均衡の総生産量は独占より多く完全競争より少なくなる。

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