問11:景気変動と在庫の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:意図せざる在庫の積み上がりは需要が生産を下回っていることを示唆し、企業の生産調整を通じて景気を下押しする要因となりうる
- B:在庫循環は約20年周期で生じ、建設投資を主な要因とする
- C:在庫が意図せず減少するのは、需要が生産を下回っている局面である
- D:在庫投資は景気変動とは無関係に一定であり、景気循環の要因とはならない
- E:景気回復の初期には、企業はまず在庫を積極的に取り崩す(在庫減)局面から始まるのが通常である
【第11問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。意図せざる在庫増は需要が生産を下回るサインであり、企業が生産を絞る調整を通じて景気の下押し要因となりうる。
・B
不適切。在庫循環(キチンの波)は約40か月周期であり、約20年周期で建設投資を要因とするのはクズネッツの波である。
・C
不適切。在庫が意図せず減少するのは需要が生産を上回っている局面であり、記述は需給の方向が逆である。
・D
不適切。在庫投資は景気に応じて変動し、キチンの波として景気循環の重要な要因となる。
・E
不適切。景気回復の初期には、積み上がった在庫の取り崩しが一巡した後に生産が増加する局面から始まるのが通常であり、記述の説明は一面的で誤りを含む。
問12:経済成長率の計測に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:実質経済成長率は、名目GDPの変化率をそのまま用いて計測される
- B:一人当たり実質GDPの成長率は、実質GDP成長率から人口増加率を差し引いて近似できる
- C:名目GDPが不変であれば、物価が下落しても実質経済成長率はゼロである
- D:実質経済成長率は必ずプラスの値をとり、マイナスになることはない
- E:一人当たりGDPが増加していれば、その国の実質GDP総額も必ず増加している
【第12問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。実質経済成長率は名目値ではなく物価変動を除いた実質GDPの変化率で計測される。
・B
適切。一人当たり実質GDP成長率は、近似的に実質GDP成長率から人口増加率を差し引いて求められる。
・C
不適切。名目GDPが不変でも物価が下落すれば実質GDPは増加するため、実質成長率はプラスとなりゼロではない。
・D
不適切。景気後退期には実質GDPが減少し、実質経済成長率がマイナスになることもある。
・E
不適切。人口が減少していれば、一人当たりGDPが増加していてもGDP総額は減少する場合があり、必ず増加するとはいえない。
問13:景気循環の要因に関する諸学説の記述として、最も適切なものはどれか。
- A:貨幣的景気循環論は、実物的な技術ショックが景気変動の主因であると主張する
- B:実物的景気循環(RBC)理論は、貨幣供給量の変動のみが景気変動を引き起こすと考える
- C:実物的景気循環(RBC)理論は、技術ショックなど供給側の実物的要因を景気変動の主因とみなし、経済主体の最適化行動の結果として変動を説明する
- D:乗数・加速度モデルは、消費と投資が独立に変動し互いに影響しないことを示す
- E:政治的景気循環論は、企業の設備投資サイクルを景気変動の唯一の要因とみなす
【第13問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。実物的な技術ショックを主因とするのは実物的景気循環(RBC)理論であり、貨幣的景気循環論は貨幣的要因を重視する。
・B
不適切。RBC理論は技術ショックなど実物的要因を重視するものであり、貨幣供給量のみを要因とするわけではない。
・C
適切。RBC理論は技術ショック等の供給側の実物的要因を景気変動の主因とみなし、経済主体の最適化行動の帰結として景気変動を説明する。
・D
不適切。乗数・加速度モデルは消費(乗数効果)と投資(加速度原理)の相互作用によって景気変動が生じることを示すものである。
・E
不適切。政治的景気循環論は選挙などの政治的要因に着目するものであり、設備投資サイクルを唯一の要因とみなすものではない。
問14:自然失業率とインフレの関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:実際の失業率が自然失業率を上回るとき、インフレ率は加速していく傾向がある
- B:自然失業率仮説では、失業率とインフレ率の間に恒久的なトレードオフが存在すると考える
- C:自然失業率は景気循環に応じて短期的に大きく変動する概念である
- D:実際の失業率が自然失業率を下回る(労働需給が引き締まる)とき、インフレ率は加速していく傾向があり、逆に上回るとインフレは減速する
- E:自然失業率を引き下げるには、拡張的な総需要政策を継続することが最も有効である
【第14問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。実際の失業率が自然失業率を上回る(需給が緩む)ときはインフレは減速する傾向にあり、加速するとする記述は逆である。
・B
不適切。自然失業率仮説では長期にトレードオフは存在せず、長期フィリップス曲線は垂直となる。
・C
不適切。自然失業率は労働市場の構造で決まる長期的な概念であり、景気循環で短期的に大きく変動するものではない。
・D
適切。失業率が自然失業率を下回るとインフレは加速し、上回ると減速する傾向があり、これは加速主義的フィリップス曲線の考え方と整合する。
・E
不適切。自然失業率は構造的要因で決まるため、拡張的総需要政策の継続では引き下げられず、インフレ加速を招くだけである。
問15:ある国の労働力人口が6,000万人、就業者数が5,700万人であるとき、完全失業率として最も適切なものはどれか。
- A:およそ3.0%
- B:およそ10.0%
- C:およそ0.5%
- D:およそ6.0%
- E:およそ5.0%
【第15問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。就業者と失業者の差の取り方や分母の設定を誤ると3.0%となるが、正しい計算とは一致しない。
・B
不適切。失業者数を労働力人口ではなく別の値で割ると過大な失業率となり、適切ではない。
・C
不適切。分子・分母の設定を誤ると過小な値となり、正しい失業率とは一致しない。
・D
不適切。就業率など別の指標と取り違えた計算であり、完全失業率とは異なる。
・E
適切。完全失業者数=6,000−5,700=300万人、完全失業率=300/6,000×100=5.0%となる。

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