問6:ハロッド=ドーマー型の成長理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:保証成長率は、企業の意図した投資が過不足なく実現され資本が完全利用される成長率であり、貯蓄率を資本係数で割った値として表される
- B:自然成長率は貯蓄率のみによって決まり、労働人口の増加率や技術進歩率とは無関係である
- C:ハロッド=ドーマー・モデルでは、現実成長率・保証成長率・自然成長率は市場メカニズムにより自動的に一致するとされる
- D:資本係数が大きいほど、同じ貯蓄率のもとで保証成長率は高くなる
- E:現実成長率が保証成長率を上回ると、需給の乖離は自動的に縮小し均衡へ回復する
【第6問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。保証成長率Gw=s/v(貯蓄率÷資本係数)で表され、企業の意図した投資が実現し資本が完全利用される成長率を示す。
・B
不適切。自然成長率は労働人口の増加率と技術進歩率の和で決まるものであり、貯蓄率のみで決まるわけではない。
・C
不適切。ハロッド=ドーマー・モデルでは3つの成長率が一致する保証はなく、乖離が累積しうる不安定性(ナイフエッジ)が特徴である。
・D
不適切。保証成長率Gw=s/vより、資本係数vが大きいほど保証成長率はむしろ低くなる。
・E
不適切。現実成長率が保証成長率を上回ると乖離はさらに拡大する方向に働き、自動的に均衡へ回復するわけではない(不安定性)。
問7:内生的成長理論(新成長理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:内生的成長理論は、技術進歩を外生的に与えられるものとして扱う点が特徴である
- B:内生的成長理論は、知識・人的資本・研究開発などによる技術進歩をモデルの内部で説明し、資本の収穫逓減が緩和されうることを示す
- C:内生的成長理論では、資本の限界生産力は必ず逓減し、長期成長率は貯蓄率と無関係になる
- D:内生的成長理論は、技術進歩を一切考慮せず資本蓄積のみで長期成長を説明する
- E:内生的成長理論によれば、政策や制度は長期の経済成長率に一切影響を与えない
【第7問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。技術進歩を外生的に扱うのは新古典派(ソロー)モデルであり、内生的成長理論はこれをモデル内部で説明しようとする。
・B
適切。内生的成長理論は知識・人的資本・研究開発による技術進歩を内生化し、外部性等により資本の収穫逓減が緩和されうることを示す。
・C
不適切。内生的成長理論はむしろ知識のスピルオーバー等により収穫逓減が緩和され、貯蓄率や投資が長期成長率に影響しうる点を強調する。
・D
不適切。内生的成長理論は技術進歩(知識・人的資本等)を中心に据えており、資本蓄積のみで説明するものではない。
・E
不適切。内生的成長理論では、研究開発促進や教育投資などの政策・制度が長期成長率に影響を与えうる点が重視される。
問8:各種の失業に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:摩擦的失業とは、景気後退による需要不足から生じる失業を指す
- B:構造的失業は、景気の回復によって速やかに解消される一時的な失業である
- C:循環的(需要不足)失業は景気後退期に生じ、有効需要の拡大によって減少しうる一方、構造的失業は労働市場のミスマッチに起因し需要拡大だけでは解消しにくい
- D:自然失業率とは、循環的失業を含めたすべての失業がゼロになった状態を指す
- E:摩擦的失業と構造的失業は景気変動に応じて増減するため、両者はまとめて循環的失業と呼ばれる
【第8問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。需要不足から生じるのは循環的失業であり、摩擦的失業は転職・就職活動に伴い一時的に生じる失業を指す。
・B
不適切。構造的失業は産業構造の変化や技能のミスマッチに起因し、景気回復だけでは速やかに解消しにくい。
・C
適切。循環的失業は需要不足に起因し需要拡大で減りうるが、構造的失業はミスマッチに起因し需要拡大だけでは解消しにくい。
・D
不適切。自然失業率は循環的失業がゼロでも残る摩擦的・構造的失業に対応する水準であり、すべての失業がゼロの状態ではない。
・E
不適切。摩擦的・構造的失業は主に労働市場の構造的要因によるもので、景気変動で増減する循環的失業とは区別される。
問9:オークンの法則に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:オークンの法則は、インフレ率と失業率の間の負の相関関係を表したものである
- B:オークンの法則によれば、失業率が上昇すると実質GDPも同時に増加する
- C:オークンの法則は、貨幣供給量と物価水準の比例関係を示す経験則である
- D:オークンの法則は、失業率とGDPギャップ(産出の乖離)との間に負の相関があること、すなわち失業率が高いほど実際の産出が潜在産出を下回る傾向を経験的に示したものである
- E:オークンの法則は、賃金上昇率と失業率の関係を示すフィリップス曲線と同一の関係を表す
【第9問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。インフレ率と失業率の関係を示すのはフィリップス曲線であり、オークンの法則は失業率と産出の関係を示す。
・B
不適切。オークンの法則では失業率の上昇は実質GDPの減少(産出の下振れ)と結びつくため、同時に増加するとする記述は誤りである。
・C
不適切。貨幣供給量と物価水準の比例関係を示すのは貨幣数量説であり、オークンの法則とは異なる。
・D
適切。オークンの法則は失業率とGDPギャップの間の負の相関を経験的に示し、失業率が高いほど産出が潜在水準を下回る傾向を表す。
・E
不適切。フィリップス曲線は失業率とインフレ(賃金上昇)率の関係を示すものであり、失業率と産出の関係を示すオークンの法則とは別の関係である。
問10:フィリップス曲線に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:当初のフィリップス曲線は、失業率が高いほど賃金上昇率も高くなるという正の関係を示した
- B:長期のフィリップス曲線は右下がりであり、失業率とインフレ率のトレードオフは長期でも維持される
- C:フィリップス曲線は、財政赤字と経常収支赤字の関係(双子の赤字)を表す
- D:フリードマンらの自然失業率仮説によれば、拡張的政策は長期でも失業率を自然失業率より恒久的に低く保てる
- E:当初のフィリップス曲線は失業率とインフレ(賃金上昇)率のトレードオフを示すが、自然失業率仮説によれば長期のフィリップス曲線は自然失業率の水準で垂直となり、このトレードオフは長期では成立しない
【第10問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。当初のフィリップス曲線は失業率が高いほど賃金上昇率が低いという負の関係(トレードオフ)を示したものであり、正の関係ではない。
・B
不適切。自然失業率仮説によれば長期のフィリップス曲線は垂直となり、長期のトレードオフは成立しない。
・C
不適切。フィリップス曲線は失業率とインフレ率の関係を示すものであり、双子の赤字を表すものではない。
・D
不適切。自然失業率仮説によれば、拡張的政策で長期的に失業率を自然失業率より低く保つことはできず、インフレが加速するだけである。
・E
適切。短期のフィリップス曲線は失業率とインフレ率のトレードオフを示すが、長期では自然失業率の水準で垂直となりトレードオフは消滅する。

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