問1:国民経済計算における三面等価の原則に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:一国の生産・分配・支出の三つの側面から捉えたGDPは事後的に必ず一致し、これは会計上の恒等関係として成立する
- B:三面等価は各経済主体が最適化行動をとった結果として事前に均衡することを示す理論的命題である
- C:生産面と分配面は一致するが、支出面は在庫変動の分だけ両者から乖離するのが通常である
- D:三面等価は名目値では成立するが、実質値に換算すると価格変動の影響で成立しなくなる
- E:三面等価の原則は閉鎖経済でのみ成立し、貿易を含む開放経済では成立しない
【第1問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。生産・分配・支出の三面から測ったGDPは、意図せざる在庫投資を支出面に含めることで事後的に必ず等しくなり、これは定義上の恒等関係である。
・B
不適切。三面等価は各主体の最適化の結果として事前に均衡するものではなく、事後的な会計恒等式として常に成立する。
・C
不適切。売れ残りは在庫投資として支出面(投資)に計上されるため、支出面が生産・分配面から乖離することはなく、三面は一致する。
・D
不適切。三面等価は名目・実質いずれの評価でも成立し、同一の評価基準で測る限り価格変動によって崩れることはない。
・E
不適切。開放経済でも純輸出(X−M)を支出面に含めることで三面等価は成立し、閉鎖経済に限定される原則ではない。
問2:GDPに計上されるか否かに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:株式や土地などの資産の売買金額そのものは、取引が成立すればその全額がGDPに計上される
- B:持ち家に住む世帯については、市場で家賃を支払っていなくても帰属家賃が推計されGDPに計上される
- C:家庭内で行われる家事労働は、市場サービスと同等の価値を持つため帰属計算によりGDPに計上される
- D:中古自動車が転売された場合、その販売価格の全額が新たな付加価値としてGDPに計上される
- E:政府が支給する年金や生活保護費は、政府による支出であるためGDPに計上される
【第2問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。資産そのものの売買金額はGDPに計上されず、仲介手数料など新たに生み出されたサービスの部分のみが計上される。
・B
適切。持ち家についても、市場家賃相当額を帰属家賃として推計し、家計最終消費支出に含めてGDPに計上する。
・C
不適切。家庭内の家事労働は市場を通さないため、原則としてGDPには計上されない(帰属計算の対象は帰属家賃などに限られる)。
・D
不適切。中古品の転売額そのものは過去に計上済みであり計上されず、販売にかかる手数料等のサービス部分のみが計上される。
・E
不適切。年金や生活保護費は対価を伴わない移転支出であり、生産活動に対応しないためGDPには計上されない。
問3:名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターの関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:GDPデフレーターは基準年の物価で当年の生産量を評価した指標であり、常に100を下回る
- B:名目GDPが増加していれば、物価が下落していても実質GDPは必ず増加している
- C:GDPデフレーターは名目GDPを実質GDPで割って100を乗じた値であり、当年に生産された財の物価水準を反映する
- D:実質GDPは名目GDPにGDPデフレーターを乗じて求められる
- E:基準年においては名目GDPが実質GDPを上回り、GDPデフレーターは100を超える
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。GDPデフレーターは名目GDPを実質GDPで除して100を乗じた比率であり、常に100を下回るとはいえない(基準年で100、物価上昇時は100超)。
・B
不適切。名目GDPが増加しても、それを上回る物価上昇があれば実質GDPは減少しうるため「必ず増加」とはいえない。
・C
適切。GDPデフレーター=(名目GDP/実質GDP)×100であり、当年に国内で生産された財・サービスの価格水準を総合的に示すパーシェ型の物価指数である。
・D
不適切。実質GDPは名目GDPをGDPデフレーター(÷100)で割って求めるものであり、乗じるのではない。
・E
不適切。基準年では名目GDPと実質GDPは一致し、GDPデフレーターはちょうど100となる。
問4:GDP(国内総生産)とGNI(国民総所得、旧GNP)の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:GNIはGDPから海外へ支払った所得を差し引き、海外から受け取った所得を加えないで求める
- B:GDPは国民概念、GNIは国内概念に基づく指標であり、両者は居住者・非居住者の区別で異なる
- C:日本企業が海外子会社から受け取る配当が増加すると、GDPは増加するがGNIは変化しない
- D:GNIはGDPに海外からの純所得受取(受取−支払)を加えたものであり、対外純受取がプラスの国ではGNIがGDPを上回る
- E:GDPとGNIは概念が異なるため、両者の大小関係は理論上いかなる場合も定まらない
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。GNIはGDPに海外からの所得受取を加え、海外への所得支払を差し引いて求める。加えないという記述は誤りである。
・B
不適切。GDPが国内概念(領土内の生産)、GNIが国民概念(居住者の所得)であり、記述は概念の対応が逆である。
・C
不適切。海外子会社からの配当受取は国内の生産活動ではないためGDPには影響せず、海外からの所得受取としてGNIを増やす。
・D
適切。GNI=GDP+海外からの所得の純受取であり、対外純受取が正の国ではGNIがGDPを上回る。
・E
不適切。GNI=GDP+海外からの純所得受取と定義されるため、純受取の符号によって両者の大小関係は明確に定まる。
問5:物価指数の計算方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:ラスパイレス指数は比較年(当年)の数量を固定ウェイトとして用いる方式である
- B:パーシェ指数は基準年の数量を固定ウェイトとして用いる方式である
- C:消費者物価指数(CPI)はパーシェ方式で、GDPデフレーターはラスパイレス方式で作成される
- D:ラスパイレス指数はパーシェ指数に比べて物価上昇を過小評価する傾向がある
- E:ラスパイレス指数は基準年の数量を固定ウェイトとするため、価格上昇時には代替行動を反映せず物価上昇を過大に評価しやすい
【第5問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。ラスパイレス指数は基準年(過去)の数量をウェイトとして固定する方式であり、比較年の数量を用いるのはパーシェ指数である。
・B
不適切。パーシェ指数は比較年(当年)の数量をウェイトとして用いる方式であり、基準年の数量を用いるのはラスパイレス指数である。
・C
不適切。CPIはラスパイレス方式、GDPデフレーターはパーシェ方式で作成されるのが一般的であり、記述は両者が逆である。
・D
不適切。ラスパイレス指数は代替効果を反映しないため、一般に物価上昇を過大評価する傾向がある。
・E
適切。ラスパイレス指数は基準年の数量ウェイトを固定するため、価格上昇時の消費者の代替行動を捉えられず、物価上昇を過大に評価しやすい。

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