問16:取締役の会社に対する責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:取締役の経営上の判断について、その前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、判断の過程および内容に著しく不合理な点がなければ、結果的に会社に損害が生じても善管注意義務違反とはならないと解されている。
- B:業務執行取締役は、会社との間で責任限定契約を締結することができる。
- C:取締役の任務懈怠による会社に対する損害賠償責任は、総株主の同意がなければ一切免除することができない。
- D:取締役の会社に対する責任は、いかなる場合でも株主総会の普通決議によって全額免除することができる。
【第16問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】取締役の責任・経営判断の原則・責任の免除【考え方】取締役の対会社責任は任務懈怠を要件とし、経営判断には一定の裁量が認められる。責任限定契約の対象者、責任の全部免除と一部免除で必要な手続が異なる点を横断的に確認する。【選択肢解説】正しい。いわゆる経営判断の原則により、事実認識に不注意な誤りがなく判断過程・内容に著しく不合理がなければ善管注意義務違反とならないと解される。
・B
【選択肢解説】誤り。責任限定契約を締結できるのは非業務執行取締役・監査役・会計参与・会計監査人であり、業務執行取締役は対象外である点で誤り。
・C
【選択肢解説】誤り。総株主の同意による全部免除のほか特別決議等による一部免除も認められ、一切免除できないとするのは誤り。
・D
【選択肢解説】誤り。責任の全部免除には総株主の同意が必要であり、普通決議で全額免除できるとするのは誤り。
関連過去問:R5,問4
問17:株主代表訴訟(責任追及等の訴え)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:公開会社では、原則として6か月前から引き続き株式を有する株主でなければ提訴できない。
- B:株主は、会社に対する提訴請求を経ることなく、直ちに取締役の責任を追及する訴えを提起できる。
- C:株主代表訴訟で追及できるのは取締役の会社に対する責任に限られ、発起人や監査役の責任は対象とならない。
- D:株主代表訴訟は、議決権の3%以上を有する株主でなければ提起することができない。
【第17問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】株主代表訴訟の提訴要件【考え方】株主代表訴訟は保有期間要件と提訴請求の前置を原則とし、単独株主権として行使できる。対象となる責任の範囲が取締役に限られないことと併せて要件を整理する。【選択肢解説】正しい。公開会社では原則として6か月前から引き続き株式を有する株主でなければ提訴できない。
・B
【選択肢解説】誤り。原則として会社への提訴請求を経て所定期間の経過を待つ必要があり、直ちに提訴できるとするのは誤り。
・C
【選択肢解説】誤り。発起人・監査役・会計監査人・執行役等の責任も対象となり、取締役に限られるとするのは誤り。
・D
【選択肢解説】誤り。株主代表訴訟は保有期間要件を満たせば単独株主権として行使でき、3%以上を要するとするのは誤り。
関連過去問:R2,問7
問18:会計参与に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:会計参与は、取締役と共同して計算書類等を作成する機関である。
- B:会計参与は公認会計士または監査法人でなければならず、税理士は就任できない。
- C:会計参与は、大会社にのみ設置が義務づけられている。
- D:会計参与を設置した場合、監査役を置くことはできない。
【第18問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】会計参与の職務・資格・設置【考え方】会計参与は取締役と共同して計算書類を作成する機関であり、就任資格・設置の任意性・他の機関との併置の可否を、監査役や会計監査人との違いを意識して整理する。【選択肢解説】正しい。会計参与は取締役(執行役)と共同して計算書類およびその附属明細書等を作成する機関である。
・B
【選択肢解説】誤り。会計参与には公認会計士・監査法人のほか税理士・税理士法人も就任でき、税理士を除くのは誤り。
・C
【選択肢解説】誤り。会計参与はすべての株式会社が任意に設置でき、大会社に義務づけられるとするのは誤り。
・D
【選択肢解説】誤り。会計参与と監査役は併置でき、会計参与を置くと監査役を置けないとするのは誤り。
関連過去問:R1,問6
問19:社外取締役に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:監査役会設置会社であって金融商品取引法上の有価証券報告書の提出義務を負う公開会社かつ大会社は、社外取締役を置かなければならない。
- B:社外取締役の要件は就任前に一度もその会社の業務執行取締役等でなかったことであり、10年より前に業務執行取締役であった者は社外取締役になれない。
- C:社外取締役の要件として、当該会社の親会社の関係者でないことは求められていない。
- D:社外取締役は、会社との間で責任限定契約を締結することができない。
【第19問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】社外取締役の要件・選任義務【考え方】社外取締役は社外性の判断基準と選任が義務づけられる会社類型が問われる。過去の在職期間の扱いや親会社関係者の除外、責任限定契約の可否を要件から丁寧に確認する。【選択肢解説】正しい。監査役会設置会社である有価証券報告書提出義務のある公開・大会社には、社外取締役の選任が義務づけられる。
・B
【選択肢解説】誤り。社外性は就任前の一定期間を基準とし、それより前に業務執行取締役であっても要件を満たし得るため、なれないとするのは誤り。
・C
【選択肢解説】誤り。親会社の取締役・使用人等でないことも要件に含まれ、求められないとするのは誤り。
・D
【選択肢解説】誤り。社外取締役は非業務執行取締役であり責任限定契約を締結でき、締結できないとするのは誤り。
関連過去問:R4,問3
問20:役員の解任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:取締役は、株主総会の特別決議によらなければ解任することができない。
- B:役員を解任するには常に正当な理由が必要であり、正当な理由がなければ解任の効力自体が生じない。
- C:監査役の解任は、株主総会の普通決議で足りる。
- D:正当な理由なく任期満了前に解任された役員は、会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
【第20問:正解と解説】
正解:D
・A
【論点】役員の解任と損害賠償【考え方】役員は原則としていつでも解任できるが、対象により必要な決議が異なる。正当な理由の有無は解任の効力ではなく損害賠償の問題として整理し、取締役と監査役の決議要件の違いも確認する。【選択肢解説】誤り。通常の取締役の解任は株主総会の普通決議で足り、特別決議を要するとするのは誤り。
・B
【選択肢解説】誤り。正当な理由がなくても解任自体は有効であり、効力が生じないとするのは誤り(正当理由がなければ損害賠償の問題となる)。
・C
【選択肢解説】誤り。監査役の解任は株主総会の特別決議を要し、普通決議で足りるとするのは誤り。
・D
【選択肢解説】正しい。正当な理由なく任期満了前に解任された役員は、会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求できる。
関連過去問:R3,問5

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