問16:株主還元の手段としての配当と自社株買いの比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:自社株買いは、株主還元には該当しない。
- B:自社株買いは配当と並ぶ株主還元の手段であり、金額や実施時期を状況に応じて機動的に決めやすい面がある。
- C:自社株買いは、すべての株主に持株数に応じて平等に現金を交付する手段である。
- D:自社株買いは、会社法上の分配可能額の規制を受けない。
【第16問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】自社株買いは株主に対する会社財産の払戻しであり、配当と並ぶ代表的な株主還元の手段である。
・B
【論点】配当と自社株買いの特徴の比較。【考え方】安定配当の慣行がある配当と異なり、自社株買いは減額・見送りへの市場の反応が相対的に小さく、業績や株価水準・手元資金の状況に応じて金額・時期を柔軟に決定しやすいという特徴がある。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】自社株買いで現金を受け取るのは株式を売却した株主のみであり、全株主に一律に現金が交付される配当とは異なる。
・D
【選択肢解説】自己株式の有償取得も剰余金の配当と同様に、会社法上の分配可能額(財源規制)の適用を受ける。
関連過去問:R6,問24/R2,問24
問17:残余配当政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:残余配当政策のもとでは、毎期の配当額は安定的に推移する。
- B:残余配当政策では、まず配当額を決定し、残った資金を投資に充当する。
- C:残余配当政策とは、NPVが正となる投資機会に資金を充当した後に残る資金を配当として分配する政策をいう。
- D:投資機会の豊富な成長企業ほど、残余配当政策のもとでは配当性向が高くなる。
【第17問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】残余配当政策では投資機会の多寡により配当額が変動するため、配当は不安定になりやすい。
・B
【選択肢解説】順序が逆である。投資を優先し、その残余を配当する。
・C
【論点】残余配当政策の考え方。【考え方】企業価値の最大化のためには、資本コストを上回るリターンが見込める投資(NPV>0)へ資金を優先的に充当すべきであり、そのうえでなお残る資金を株主に配当として分配するのが残余配当政策である。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】投資機会が豊富な成長企業ほど内部資金を投資に振り向けるため、配当性向はむしろ低くなる。
関連過去問:R4,問24/H28,問25
問18:株式分割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:株式分割は、それ自体では株主の持分価値(企業価値)を直接変化させるものではない。
- B:株式分割を行うと、資本金の額が増加する。
- C:株式分割は、1株当たりの理論株価を上昇させる。
- D:株式分割は、株式の市場流動性を低下させることを目的として行われる。
【第18問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】株式分割の性質と目的。【考え方】株式分割は既存の株式を細分化して株式数を増やすだけであり、会社財産や株主の持分割合・持分価値に直接の変化はない。1株当たりの株価水準(投資単位)を引き下げ、個人投資家の投資をしやすくして流動性を高める目的などで行われる。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】株式分割では新たな払込みがなく、資本金の額は変化しない。
・C
【選択肢解説】株式数が増加するため、1株当たりの理論株価は分割比率に応じて低下する。
・D
【選択肢解説】株式分割は投資単位の引下げにより流動性を「高める」ことを目的として行われるのが通常である。
関連過去問:R2,問24/H30,問25
問19:会社法における剰余金の配当の手続に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:剰余金の配当は、事業年度中に1回しか行うことができない。
- B:すべての株式会社は、取締役会の決議のみで剰余金の配当を決定することができる。
- C:取締役会設置会社は、定款の定めにより、1事業年度の途中において1回に限り取締役会決議による金銭の配当(中間配当)を行うことができる。
- D:中間配当は、いかなる株式会社においても行うことが禁止されている。
【第19問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】剰余金の配当は、分配可能額の範囲内であれば、株主総会の決議によりいつでも何度でも行うことができる。
・B
【選択肢解説】剰余金の配当は原則として株主総会の決議による。取締役会決議のみで配当を決定できるのは、会計監査人設置会社であることなど一定の要件を満たし定款に定めた場合に限られる。
・C
【論点】剰余金の配当の決定機関と中間配当の制度。【考え方】剰余金の配当は原則として株主総会の普通決議によるが、取締役会設置会社は定款の定めにより、1事業年度の途中に1回に限り、取締役会の決議によって金銭による配当(中間配当)を行うことができる。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】中間配当は取締役会設置会社が定款の定めにより行うことができる制度であり、禁止されているわけではない。
関連過去問:R1,問24/H29,問25
問20:配当に関連する指標についての記述として、最も適切なものはどれか。
- A:配当性向とは、配当総額を当期純利益で除した比率をいう。
- B:配当利回りとは、1株当たり配当額を1株当たり純資産で除した比率をいう。
- C:株主資本配当率(DOE)とは、配当総額を売上高で除した比率をいう。
- D:配当性向が100%を超えることは、制度上も実際にもあり得ない。
【第20問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】配当関連指標の定義。【考え方】配当性向=配当総額÷当期純利益(または1株当たり配当÷EPS)であり、利益のうちどれだけを株主に配分したかを示す。株主還元方針の指標として広く用いられる。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】配当利回りは1株当たり配当額を「株価」で除した比率である。
・C
【選択肢解説】株主資本配当率(DOE)は配当総額を株主資本(自己資本)で除した比率であり、売上高ではない。
・D
【選択肢解説】過年度の留保利益を原資とすれば当期純利益を超える配当も可能であり、配当性向が100%を超えることはあり得る(タコ配当的な状況を含め実例もある)。
関連過去問:R5,問24/H28,問24
