問16:投資評価における減価償却費の取扱いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:減価償却費は、発生した年度にその金額だけ現金が支出される。
- B:法人税が存在しない場合でも、減価償却方法の選択はキャッシュ・フローに影響を与える。
- C:定額法と定率法とでは、耐用年数全体を通じたタックスシールドの総額(名目額)が異なる。
- D:減価償却費は現金支出を伴わない費用であるが、損金算入による節税効果(タックスシールド)を通じてキャッシュ・フローに影響する。
【第16問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】減価償却費は取得時に支出済みの原価を配分する手続であり、計上年度に現金支出は生じない。
・B
【選択肢解説】税金が存在しなければ、減価償却費は現金の動きに影響しないため、償却方法の選択はキャッシュ・フローに影響しない。
・C
【選択肢解説】償却方法が異なっても償却費の総額(=取得原価)は同じであるため、タックスシールドの名目総額は等しい。異なるのは各期への配分と、その現在価値である(早期に多く償却する定率法の方が現在価値は大きい)。
・D
【論点】減価償却費とキャッシュ・フローの関係(非資金費用・タックスシールド)。【考え方】減価償却費そのものは現金支出を伴わないが、損金算入により課税所得を減らし、税金支払額を減価償却費×税率だけ減少させる。この節税効果(タックスシールド)がキャッシュ・フローを増加させる。【選択肢解説】正しい。
関連過去問:R2,問17/H29,問19
問17:投資の採否の判定基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:NPVがゼロの投資案は、資本コストに相当する収益さえ生まない投資である。
- B:投資案のNPVが正であれば、その投資は資本コストを上回るリターンをもたらし、企業価値を増加させると期待される。
- C:投資判断に用いるハードルレート(要求収益率)には、常にリスクフリーレートを用いるべきである。
- D:IRRが資本コストを下回る投資案を採択すべきである。
【第17問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】NPV=0は、資本コストとちょうど等しい収益率を生むことを意味する。資本提供者の要求は満たしており、損失を意味するわけではない。
・B
【論点】NPVの意味と投資の採択基準。【考え方】NPVは、資本コストで割り引いた投資のキャッシュ・フローの現在価値から投資額を差し引いたものであり、正であれば資本コスト(資金提供者の要求収益率)を上回る価値を創造し、企業価値をNPVの分だけ増加させると期待される。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】ハードルレートは投資案のリスクに応じた資本コストとすべきであり、リスクのある事業投資にリスクフリーレートを用いると過大投資を招く。
・D
【選択肢解説】採択すべきはIRRが資本コストを「上回る」投資案である。
関連過去問:R5,問17/H28,問19
問18:投資評価におけるリスクの取扱いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:リスクの高い投資案の評価には、より高い割引率を適用するリスク調整割引率法が用いられることがある。
- B:リスク調整割引率法では、リスクが高い投資案ほど低い割引率を適用する。
- C:感度分析を行えば、投資案のリスクを完全に除去することができる。
- D:モンテカルロ・シミュレーションは、単一のシナリオのみを評価する手法である。
【第18問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】不確実性下の投資評価手法(リスク調整割引率法・感度分析・シミュレーション)。【考え方】リスク調整割引率法は、投資案のリスクの大きさに応じてリスクプレミアムを上乗せした割引率を用いる方法であり、リスクが高いほど高い割引率で割り引くことで、リスクを評価に反映させる。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】リスクが高いほど「高い」割引率を適用する。低い割引率では高リスク案が過大評価される。
・C
【選択肢解説】感度分析は、変数の変化がNPV等に与える影響の大きさを把握する手法であり、リスクの所在を明らかにするものであってリスクを除去するものではない。
・D
【選択肢解説】モンテカルロ・シミュレーションは、変数の確率分布に基づき多数の試行を繰り返して結果の分布を求める手法であり、単一シナリオの評価ではない。
関連過去問:R4,問17/H30,問18
問19:投資評価における正味運転資本の取扱いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:正味運転資本は会計上の費用であるため、キャッシュ・フローには影響しない。
- B:正味運転資本への投資はプロジェクト開始時等のキャッシュ・アウトフローとなり、通常、プロジェクト終了時に回収額がキャッシュ・インフローとなる。
- C:プロジェクト期間中の正味運転資本の増加は、その期のキャッシュ・フローを増加させる。
- D:正味運転資本は、プロジェクトが終了しても回収されることはない。
【第19問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】正味運転資本は費用ではなく、売上債権・棚卸資産等への資金の投下(拘束)であり、キャッシュ・フローに影響する。
・B
【論点】プロジェクト評価における正味運転資本の投資と回収。【考え方】事業の開始・拡大に伴い売上債権や棚卸資産が増加すると、その分の資金が拘束される(キャッシュ・アウトフロー)。プロジェクト終了時には債権回収・在庫処分により運転資本が解放され、キャッシュ・インフローとして戻ってくると仮定するのが通常である。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】運転資本の増加は資金の追加的な拘束を意味するため、その期のキャッシュ・フローを減少させる。
・D
【選択肢解説】プロジェクト終了時には、通常、正味運転資本は回収されるものとしてキャッシュ・インフローに計上する。
関連過去問:R3,問18/H29,問19
問20:設備投資の経済性計算の手法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:DCF法は、会計上の利益に基づいて投資案を評価する手法である。
- B:単純回収期間法は、貨幣の時間価値を考慮する手法である。
- C:NPV法は、投資規模(投資額の大きさ)の違いを反映できない手法である。
- D:DCF法は、プロジェクトの全期間のキャッシュ・フローと貨幣の時間価値をともに考慮する点で、理論的に優れた手法とされる。
【第20問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】DCF法は会計利益ではなくキャッシュ・フローに基づいて評価する手法である。
・B
【選択肢解説】単純回収期間法は時間価値を考慮しない。考慮するのは割引回収期間法である。
・C
【選択肢解説】NPVは投資額を控除した価値増加の絶対額であり、投資規模の違いはNPVの金額に反映される。規模の違いに起因する順位付けの問題が指摘されるのはIRR法やPI法との比較においてである。
・D
【論点】投資評価手法の比較とDCF法の理論的優位性。【考え方】NPV法・IRR法などのDCF法は、投資期間全体のキャッシュ・フローを対象とし、貨幣の時間価値を割引計算により反映するため、回収期間法やARR法に比べ理論的に優れているとされる。中でもNPV法は企業価値の増加額を直接示す点で最も望ましいとされる。【選択肢解説】正しい。
関連過去問:R6,問16/H28,問17
