問1:当社の株式には毎年60円の配当が永久に支払われると見込まれている(成長はない)。株主の要求収益率が5%であるとき、配当割引モデル(ゼロ成長モデル)による理論株価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、当社の1株当たり当期純利益(EPS)は100円である。
- A:1,200円
- B:1,260円
- C:2,000円
- D:2,100円
【第1問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】ゼロ成長配当割引モデルによる理論株価の計算。EPSは本問の計算には用いない紛れの資料である。【考え方】理論株価=年間配当÷要求収益率=60÷0.05=1,200円。毎年一定額の配当が永久に続く場合、株価は永久年金の現在価値として計算される。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】ゼロ成長にもかかわらず配当に成長率を乗じた誤り(60×1.05÷0.05=1,260円)。
・C
【選択肢解説】配当ではなくEPSを分子に用いた誤り(100÷0.05=2,000円)。配当割引モデルの分子は配当である。
・D
【選択肢解説】EPSに成長を見込んで割り引いた誤り(100×1.05÷0.05=2,100円)。
関連過去問:R4,問21/H30,問22
問2:当社株式の次期(1年後)の予想配当は1株当たり50円であり、配当は毎年2%の一定率で成長すると見込まれる。株主の要求収益率が7%であるとき、定率成長配当割引モデルによる理論株価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- A:約556円
- B:約714円
- C:1,000円
- D:1,020円
【第2問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】要求収益率に成長率を「加算」して除した誤り(50÷(0.07+0.02)≒556円)。分母は要求収益率から成長率を控除する。
・B
【選択肢解説】成長率を考慮しなかった誤り(50÷0.07≒714円)。
・C
【論点】定率成長配当割引モデル(ゴードン・モデル)による理論株価の計算。【考え方】理論株価=次期予想配当÷(要求収益率-成長率)=50÷(0.07-0.02)=50÷0.05=1,000円。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】次期予想配当にさらに成長率を乗じた誤り(50×1.02÷0.05=1,020円)。資料の50円はすでに次期の予想配当である。
関連過去問:R5,問21/R2,問21
問3:以下の資料に基づき、DCF法による当社の株式価値(株主に帰属する価値)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【資料】
・フリー・キャッシュ・フロー(FCF) 毎年420百万円(一定額が永久に続くものとする)
・加重平均資本コスト(WACC) 7%
・株主資本コスト 10%
・有利子負債の時価 2,000百万円
- A:2,200百万円
- B:4,000百万円
- C:6,000百万円
- D:8,000百万円
【第3問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】FCFを株主資本コスト10%で割り引いた誤り(420÷0.10-2,000=2,200百万円)。FCFは債権者と株主の双方に帰属するキャッシュ・フローであるため、WACCで割り引く。株主資本コストは紛れの資料である。
・B
【論点】DCF法(エンタープライズDCF)による企業価値と株式価値の関係。【考え方】企業価値=FCF÷WACC=420÷0.07=6,000百万円。株式価値=企業価値-有利子負債=6,000-2,000=4,000百万円。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】6,000百万円は企業価値(事業価値)であり、有利子負債2,000百万円を控除する前の金額である。
・D
【選択肢解説】有利子負債を控除せず加算した誤り(6,000+2,000=8,000百万円)。
関連過去問:R3,問21/H29,問22
問4:以下の資料に基づき、EV/EBITDA倍率を用いた類似会社比較法による当社の株式価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【資料】
・当社のEBITDA 500百万円
・当社の当期純利益 300百万円
・類似上場会社のEV/EBITDA倍率 6倍
・当社の純有利子負債 800百万円
- A:1,000百万円
- B:2,200百万円
- C:3,000百万円
- D:3,800百万円
【第4問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】EBITDAではなく当期純利益に倍率を適用した誤り(300×6-800=1,000百万円)。EV/EBITDA倍率はEBITDAに乗じる。当期純利益は紛れの資料である。
・B
【論点】EV/EBITDA倍率による評価(EVから株式価値への変換)。【考え方】EV(企業価値)=EBITDA500×6倍=3,000百万円。株式価値=EV-純有利子負債=3,000-800=2,200百万円。EVは債権者・株主双方に帰属する価値であるため、株式価値を求めるには純有利子負債を控除する。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】3,000百万円はEV(企業価値)であり、純有利子負債を控除する前の金額である。
・D
【選択肢解説】純有利子負債を控除せず加算した誤り(3,000+800=3,800百万円)。
関連過去問:R6,問21/R1,問22
問5:当社の株価は1,500円、1株当たり当期純利益(EPS)は100円、1株当たり純資産(BPS)は1,200円である。当社のPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- A:PER12倍、PBR0.8倍
- B:PER12倍、PBR1.25倍
- C:PER15倍、PBR0.8倍
- D:PER15倍、PBR1.25倍
【第5問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】PERはBPSをEPSで除した値(12倍)、PBRはBPSを株価で除した逆数(0.8倍)となっており、いずれも定義と異なる。
・B
【選択肢解説】PERの分子に株価ではなくBPSを用いた誤り(1,200÷100=12倍)。
・C
【選択肢解説】PBRの分子・分母を逆にした誤り(1,200÷1,500=0.8倍)。
・D
【論点】PERとPBRの定義と計算。【考え方】PER=株価÷EPS=1,500÷100=15倍。PBR=株価÷BPS=1,500÷1,200=1.25倍。なお、PBR=PER×ROE(1.25=15×8.33%)の関係も成り立つ。【選択肢解説】正しい。
関連過去問:R2,問22/H28,問22
