問11:企業の資金調達の分類に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:社債の発行による資金調達は、間接金融に分類される。
- B:銀行からの借入れは、直接金融に分類される。
- C:株式の発行による資金調達は、直接金融に分類される。
- D:買掛金などの企業間信用は、外部からの資金調達には該当しない。
【第11問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】社債は投資家から直接資金を調達する手段であり、直接金融に分類される。
・B
【選択肢解説】銀行借入れは、預金者から集めた資金を金融機関を介して調達するものであり、間接金融に分類される。
・C
【論点】直接金融と間接金融の区別。【考え方】直接金融は、株式や社債の発行により最終的な資金提供者(投資家)から直接資金を調達する形態であり、間接金融は銀行等の金融仲介機関を介して調達する形態である。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】買掛金・支払手形などの企業間信用は、支払いの猶予という形で外部から信用(資金)の供与を受けるものであり、外部金融(外部からの資金調達)の一形態である。
関連過去問:R2,問14/H29,問15
問12:内部金融(自己金融)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:新株の発行による調達は、内部金融に含まれる。
- B:企業間信用は、内部金融に含まれる。
- C:内部留保の利用には、資本コストは一切発生しない。
- D:内部留保と減価償却費(の資金的効果)は、内部金融に含まれる。
【第12問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】新株の発行は外部の投資家からの調達であり、外部金融に分類される。
・B
【選択肢解説】企業間信用は取引先からの信用供与であり、外部金融に分類される。
・C
【選択肢解説】内部留保は株主に帰属する資金の再投資であり、株主の機会費用としての資本コスト(株主資本コスト)が存在する。コストがないわけではない。
・D
【論点】内部金融の範囲。【考え方】内部金融(自己金融)は企業内部で生み出された資金による調達であり、利益の内部留保と、減価償却手続により回収され企業内に留保される資金(自己金融効果)がこれに該当する。【選択肢解説】正しい。
関連過去問:R5,問14/H28,問15
問13:MM理論(法人税が存在しない完全資本市場を前提)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:完全資本市場においては、企業価値は資本構成に依存せず、資産が生み出す将来キャッシュ・フローによって決まる。
- B:MM理論は、法人税の存在を前提としている。
- C:負債の増加は、法人税が存在しなくても節税効果により企業価値を高める。
- D:MM理論によれば、株主資本コストは負債比率にかかわらず一定である。
【第13問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】MM理論の第1命題(資本構成の無関連性)。【考え方】税金や取引コスト、情報の非対称性などが存在しない完全資本市場では、企業価値は資本の調達方法(資本構成)には依存せず、企業の資産が生み出すキャッシュ・フローの大きさとリスクによってのみ決定される。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】オリジナルのMM理論は法人税が存在しない完全資本市場を前提とする。法人税を導入したのは修正命題である。
・C
【選択肢解説】節税効果は法人税の存在を前提として生じるものであり、無税の世界では負債の増加は企業価値に影響しない。
・D
【選択肢解説】MMの第2命題によれば、負債比率の上昇に伴い財務リスクが増すため、株主資本コストは負債比率の増加関数となる。一定なのはWACCである。
関連過去問:R4,問16/H30,問17
問14:資本構成に関するトレードオフ理論についての記述として、最も適切なものはどれか。
- A:負債の利用度を高めるほど、倒産リスクは低下する。
- B:トレードオフ理論では、負債の節税効果と財務破綻コスト(倒産関連コスト)のバランスによって最適資本構成が決まると考える。
- C:節税効果は、自己資本の利用から生じる。
- D:法人税が存在する場合、財務破綻コストを考慮しても、負債100%の資本構成が常に最適となる。
【第14問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】負債の利用度(レバレッジ)の上昇は、固定的な元利支払負担を増加させ、倒産リスクを高める。
・B
【論点】トレードオフ理論による最適資本構成の考え方。【考え方】負債の増加は節税効果により企業価値を高める一方、倒産確率の上昇に伴う財務破綻コスト(倒産コスト・財務的困難のコスト)の期待値も増加させる。両者が均衡する点で企業価値が最大となる資本構成(最適資本構成)が存在すると考えるのがトレードオフ理論である。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】節税効果は負債の支払利息が損金算入されることから生じる。配当は損金算入されないため自己資本からは生じない。
・D
【選択肢解説】財務破綻コストを考慮すると、負債の増加による節税効果の増分がある点で破綻コストの増分に相殺されるため、負債100%は最適とならない。
関連過去問:R3,問16/H29,問17
問15:資金調達に関するペッキングオーダー理論についての記述として、最も適切なものはどれか。
- A:企業は、新株発行、負債、内部資金の順に資金調達を選好する。
- B:ペッキングオーダー理論は、目標とする最適資本構成の存在を前提としている。
- C:情報の非対称性のもとで、企業は内部資金、負債、新株発行の順に資金調達を選好する。
- D:内部資金による調達には、機会費用としての資本コストも存在しない。
【第15問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】順序が逆である。情報の非対称性によるコストが小さい順、すなわち内部資金→負債→新株発行の順に選好される。
・B
【選択肢解説】目標資本構成への調整を考えるのはトレードオフ理論である。ペッキングオーダー理論は目標比率の存在を前提とせず、調達手段の優先順位により資本構成が結果的に決まると考える。
・C
【論点】ペッキングオーダー理論(情報の非対称性に基づく資金調達の優先順位)。【考え方】経営者と投資家の間に情報の非対称性がある場合、新株発行は株価の過大評価のシグナルと受け取られ株価下落を招きやすい。そのため企業は、情報コストの小さい内部資金をまず利用し、次に負債、最後の手段として新株発行を選好すると説明される。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】内部資金にも株主の機会費用としての資本コストが存在する。
関連過去問:R6,問16/R2,問16
