問16:金利スワップに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:金利スワップでは、契約当事者間で想定元本そのものの交換が必ず行われる。
- B:金利スワップは、同一通貨の固定金利と変動金利の利息相当額を交換する取引であり、想定元本の交換は通常行われない。
- C:金利スワップは、取引所に上場された標準化商品としてのみ取引される。
- D:変動金利の借入れを行っている企業が「変動受取・固定支払」のスワップを締結すると、金利負担は変動化する。
【第16問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】金利スワップで交換されるのは利息相当額のみであり、元本(想定元本)は交換されない。元本の交換を伴うのは通貨スワップである。
・B
【論点】金利スワップの仕組み。【考え方】金利スワップは、同一通貨について想定元本に基づく固定金利と変動金利の利息を一定期間交換する契約である。想定元本は利息計算の基礎となるだけで、元本自体の受渡しは行われない。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】金利スワップは主として金融機関等との相対(店頭)取引で行われる。
・D
【選択肢解説】変動金利借入と「変動受取・固定支払」スワップを組み合わせると、変動部分が相殺されて金利負担は「固定化」される。
関連過去問:R6,問24/R2,問24
問17:ヘッジ会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:ヘッジ会計とは、一定の要件を満たす場合に、ヘッジ手段に係る損益をヘッジ対象に係る損益と同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させる会計処理をいう。
- B:ヘッジ会計は、すべてのデリバティブ取引に自動的に適用される。
- C:繰延ヘッジでは、ヘッジ手段の評価差額を発生時に直ちに当期の損益として処理する。
- D:ヘッジ会計の適用にあたり、ヘッジの有効性の評価は不要である。
【第17問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】ヘッジ会計の意義と要件。【考え方】デリバティブは原則時価評価・損益計上されるが、これではヘッジ対象の損益認識時期とずれが生じ、ヘッジの効果が財務諸表に適切に表れない。そこで、ヘッジ指定・有効性などの要件を満たす場合に、両者の損益を同一期間に対応させるのがヘッジ会計である。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】ヘッジ会計の適用には、ヘッジ関係の指定・文書化や有効性の評価などの要件を満たす必要があり、自動適用ではない。
・C
【選択肢解説】繰延ヘッジは、ヘッジ手段の損益をヘッジ対象の損益が認識されるまで純資産の部(繰延ヘッジ損益)に「繰り延べる」方法である。
・D
【選択肢解説】ヘッジ会計の適用にはヘッジ関係の有効性を定期的に評価することが求められる。
関連過去問:R4,問25/H30,問24
問18:企業の為替リスク管理の手法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:リーズ・アンド・ラッグズとは、為替予約の一種である。
- B:ネッティングを行うと、グループ内の決済総額が増加し、為替リスクは増幅される。
- C:マリー(マリーング)は、金利変動リスクを管理するための手法である。
- D:マリー(マリーング)とは、外貨建ての債権と債務を対応させ、為替リスクを相殺する手法をいう。
【第18問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】リーズ・アンド・ラッグズは、為替相場の見通しに応じて外貨建て債権債務の決済時期を早めたり(リーズ)遅らせたり(ラッグズ)する手法であり、為替予約とは異なる。
・B
【選択肢解説】ネッティングは債権債務を相殺して差額のみを決済する手法であり、決済総額と為替リスクにさらされる金額を「減少」させる。
・C
【選択肢解説】マリーは為替リスクの管理手法であり、金利リスクの手法ではない。
・D
【論点】為替リスクの社内的管理手法(マリー・ネッティング・リーズ&ラッグズ)。【考え方】マリーは、同一通貨の外貨建て債権(輸出代金等)と外貨建て債務(輸入代金等)を対応(結婚=marry)させ、為替変動の影響を相殺する手法である。デリバティブを使わずにエクスポージャー自体を減らす点に特徴がある。【選択肢解説】正しい。
関連過去問:R1,問25/H29,問24
問19:企業が直面するリスクの分類に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:信用リスクとは、金利や為替などの市場価格の変動により損失を被るリスクをいう。
- B:流動性リスクとは、取引相手が債務を履行しないリスクをいう。
- C:市場リスクには、金利リスク、為替リスク、株価変動リスクなどが含まれる。
- D:オペレーショナル・リスクとは、金利変動により損失を被るリスクをいう。
【第19問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】これは市場リスクの説明である。信用リスクは取引相手の債務不履行(デフォルト)により損失を被るリスクをいう。
・B
【選択肢解説】これは信用リスクの説明である。流動性リスクは、資金繰りの悪化や市場の流動性低下により必要な資金調達・取引が困難になるリスクをいう。
・C
【論点】リスクの分類(市場リスク・信用リスク・流動性リスク・オペレーショナル・リスク)。【考え方】市場リスクは市場価格・レートの変動により資産価値や損益が変動するリスクの総称であり、金利・為替・株価・商品価格などの変動リスクが含まれる。デリバティブは主としてこの市場リスクの管理に用いられる。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】オペレーショナル・リスクは事務処理ミス・システム障害・不正など業務運営に起因するリスクであり、金利変動リスクではない。
関連過去問:R3,問25/H28,問25
問20:デリバティブ取引の会計処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:デリバティブ取引により生じる正味の債権および債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は原則として当期の損益として処理する。
- B:デリバティブ取引は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
- C:デリバティブの評価差額は、すべて純資産の部に直入しなければならない。
- D:デリバティブ取引は、決済されるまで財務諸表に一切計上されない。
【第20問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】デリバティブの期末評価(時価評価・損益計上の原則)。【考え方】デリバティブ取引により生じる正味の債権・債務は時価をもって貸借対照表に計上し、評価差額は原則として当期の損益として処理する。ただし、ヘッジ会計(繰延ヘッジ)の要件を満たす場合には損益の繰延べが認められる。【選択肢解説】正しい。
・B
【選択肢解説】デリバティブは時価の変動そのものが取引の実態であるため、取得原価ではなく時価で評価する。
・C
【選択肢解説】純資産直入(繰延ヘッジ損益)となるのはヘッジ会計を適用する場合であり、原則は当期の損益処理である。
・D
【選択肢解説】契約により正味の債権債務が生じている以上、決済前であっても時価で貸借対照表に計上する。
関連過去問:R5,問24/H30,問25
