問1:DCF法において「継続価値(ターミナルバリュー)」をゴードン成長モデルで算出する際、前提となる「永久成長率(g)」が「割引率(WACC)」を上回ることは許容されるか。
- A:許容される(成長性が高ければ企業価値は無限に伸びるから)
- B:許容されない(算定式が数学的に破綻し、企業価値が無限大となるため)
- C:許容される(投資家の期待収益率を考慮する必要がないから)
- D:許容されない(法人税の影響を受けるから)
- E:許容される(期間が短い場合は影響が少ないから)
【第1問:正解と解説】
正解:Option_B
【解説】
・A:gがWACCを上回ると式が破綻するため成長性が高い場合でも許容されないため不適切。
・B:継続価値=FCF×(1+g)÷(WACC-g)の計算式においてg≥WACCとなると分母がゼロ以下となり企業価値が無限大または負の値となって数学的に意味をなさないためg<WACCは必須条件であり適切。
・C:割引率(WACC)はg未満でなければならない必須条件であり考慮しなくてよいとは言えないため不適切。
・D:法人税ではなく数学的な式の構造がg
問2:企業価値(EV)から株式価値を導出する際、非事業用資産を加算する論理的な理由はどれか。
- A:非事業用資産は常に現金と同等だから
- B:負債の返済にしか使えないから
- C:税務上の控除対象になるから
- D:減価償却費を増やすから
- E:事業活動から生まれる価値だけでなく、保有している資産も株主に帰属する現金化可能な価値だから
【第2問:正解と解説】
正解:Option_E
【解説】
・A:非事業用資産は不動産・有価証券等を含み現金と同等の流動性があるとは限らないため不適切。
・B:非事業用資産は負債返済だけでなく配当・投資等様々な用途に活用されるため不適切。
・C:非事業用資産の加算は税務上の控除とは無関係であるため不適切。
・D:非事業用資産と減価償却費は直接関係しないため不適切。
・E:DCF法で算出したEVは事業から生まれるキャッシュフローの価値のみを反映するため遊休不動産・投資有価証券・余剰現金等の非事業用資産を加算しなければ株主に帰属する総価値が過小評価されるため適切。
問3:DCF法で用いるフリーキャッシュフロー(FCF)の算定式において、「税引後営業利益(NOPAT)」から算出する際、減価償却費を足し戻す理由はどれか。
- A:法人税の支払いを減らすため
- B:減価償却費は損益計算書上の費用だが、実際の現金流出を伴わないため
- C:設備投資額を相殺するため
- D:利益を大きく見せるため
- E:営業外収益を調整するため
【第3問:正解と解説】
正解:Option_B
【解説】
・A:節税効果はすでにNOPATの計算に組み込まれており足し戻す主な理由は非資金費用であることに基づくため不適切。
・B:NOPATから始めるFCF計算では減価償却費が費用として差し引かれているため現金支出を伴わない非資金費用として足し戻してキャッシュフローを正確に算出する必要があるため適切。
・C:設備投資額は別途FCFから差し引く独立した項目であり減価償却費の足し戻しとは別の調整であるため不適切。
・D:利益の過大表示は目的ではなく現金収支の正確な算出が目的であるため不適切。
・E:営業外収益はFCFの算定において別途調整されるものであり減価償却費の足し戻しとは無関係であるため不適切。
問4:マルチプル法(類似会社比較法)において、EBITDA倍率を用いるメリットはどれか。
- A:計算が非常に単純で時間がかからないから
- B:負債比率の違いを完全に無視できるから
- C:税率の変動を考慮しなくて良いから
- D:減価償却費等の会計方針の違いによる利益の歪みを排除し、比較可能性を高めるため
- E:株主資本コストを算出する必要がないから
【第4問:正解と解説】
正解:Option_D
【解説】
・A:計算の簡易さはEBITDA倍率を使う主要なメリットではなく比較可能性の確保が主因であるため不適切。
・B:負債構造の違いはEBITDA倍率でも完全には無視できず負債水準の異なる企業間では追加的な考察が必要であるため不適切。
・C:EBITDAはEBIT(税引前)に償却費を加えたものであり税率を考慮不要というわけではないため不適切。
・D:EBITDAは減価償却費・利息・税金控除前の利益であるため企業間で異なる償却方針や税率・資本構成の影響を除いた事業の収益力を比較できるという本質的なメリットとして適切。
・E:株主資本コストはWACC計算に必要であり EV/EBITDA倍率の使用と独立した別問題であるため不適切。
問5:DCF法の計算において「割引率(WACC)」を過大に見積もった場合、算出される企業価値はどうなるか。
- A:過大評価される
- B:不変である
- C:ゼロになる
- D:無限大になる
- E:過小評価される
【第5問:正解と解説】
正解:Option_E
【解説】
・A:過大評価は割引率を過小に見積もった場合に生じる現象であり過大見積もりでは逆の過小評価になるため不適切。
・B:WACCの大小は現在価値に直接影響するため不変にはならないため不適切。
・C:WACC過大でも将来CFがある限り企業価値はゼロにはならないため不適切。
・D:WACCが大きいほど現在価値は小さくなるため無限大にはならないため不適切。
・E:現在価値=将来CF÷(1+WACC)^年数においてWACCを実際より高く設定すると分母が大きくなり現在価値(企業価値)が実際より小さく算出されてしまう過小評価が生じるため適切。

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