財務・会計 ⑧応用編_投資評価_11問〜15問

問11:IRRが算出不能、または多重解となる場合のキャッシュフローの特徴はどれか。

  • A:すべてのキャッシュフローがプラスである
  • B:すべてのキャッシュフローがマイナスである
  • C:投資額がゼロである
  • D:投資期間中にキャッシュフローの符号が複数回反転している(投資と回収が繰り返される)
  • E:期間が非常に短い
【第11問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:全CFがプラスならIRRが定義できない(負の投資がない)ため不適切。
・B:全CFがマイナスなら収益が得られずIRRが定義できないため不適切。
・C:投資額がゼロなら評価対象外でありIRRの多重解とは無関係であるため不適切。
・D:デカルトの符号規則によりCFの符号変化の回数と同数の実数解(IRR)が存在する可能性があるため符号が複数回反転するプロジェクトで多重解が生じるという数理的特性として適切。
・E:期間の長短はIRRの多重解問題の直接的要因ではないため不適切。


問12:「割引回収期間法」の算定式として適切なものはどれか。

  • A:投資額を単純なキャッシュフローで回収する期間
  • B:NPVがプラスになる期間
  • C:IRRがゼロになる期間
  • D:利益が出る期間
  • E:投資額を割引後キャッシュフローで回収する期間
【第12問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:投資額を単純なCFで回収する期間は通常の回収期間法(割引なし)の説明であるため不適切。
・B:NPVがプラスになる期間は割引回収期間の定義とは異なるため不適切。
・C:IRRがゼロになる期間は割引回収期間の定義ではないため不適切。
・D:会計上の利益が出る期間は割引回収期間の定義とは異なるため不適切。
・E:割引回収期間法は各期のCFを現在価値に割り引いた後の割引済CFが投資額を回収するまでの期間を示すものであり時間価値を考慮した回収期間の計算方法として適切。


問13:意思決定において「サンクコスト」を無視する論理的背景はどれか。

  • A:過去の支出はどの選択肢を選んでも変更できず、将来の差額利益に影響しないから
  • B:株主が過去の支出を問わないから
  • C:税務署がサンクコストを認めていないから
  • D:会計ルールで禁止されているから
  • E:経営者の責任を隠すため
【第13問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:サンクコストとはすでに支出済みでどのような意思決定をしても変えることができないコストであり将来のCFに差額を生じさせないため意思決定の関連原価から除外すべきという差額分析の基本原則として適切。
・B:株主の反応はサンクコストを無視する論理的根拠にはならないため不適切。
・C:税務署の規定はサンクコストを無視する理由ではなく意思決定会計の論理から導かれるものであるため不適切。
・D:会計ルールでの禁止規定はなく意思決定の論理的原則であるため不適切。
・E:経営者の責任回避はサンクコストを無視する論理的背景ではないため不適切。


問14:設備投資における「税引後キャッシュフロー」を算出する際、減価償却費はどのように扱われるか。

  • A:無視する
  • B:売上に足す
  • C:投資額から引く
  • D:支出を伴わない費用であるため、一度差し引いて税金を計算し、その後足し戻す(節税効果の反映)
  • E:利益から引く
【第14問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:減価償却費を無視すると節税効果が反映されず税引後CFが不正確になるため不適切。
・B:減価償却費を売上に加算することは会計上の意味をなさないため不適切。
・C:減価償却費を投資額から引くことは税引後CFの計算ではないため不適切。
・D:減価償却費は現金支出を伴わない費用(非資金費用)であるため税引前利益を計算する際に一度差し引いて課税所得を下げ(節税効果)その後税引後利益に足し戻すことで正確な現金収支(税引後CF)を算出するというキャッシュフロー計算の標準的手順として適切。
・E:税引後利益の計算では減価償却費はすでに差し引かれているため追加で引くと二重計上になるため不適切。


問15:プロジェクトの「リスク調整割引率法」において、高リスクなプロジェクトにはどう対応すべきか。

  • A:割引率をゼロにする
  • B:割引率を低く設定する
  • C:割引率を変えない
  • D:投資額を減らす
  • E:低いリスクのプロジェクトより高い割引率を設定する
【第15問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:割引率をゼロにするとリスクが全く考慮されずあらゆる将来CFが同等に評価されてしまうため不適切。
・B:割引率を低く設定すると高リスクプロジェクトの将来CFを過大評価してしまうため逆の対応として不適切。
・C:全社一律のWACCを変えないことはプロジェクト固有のリスクを無視した評価になるため不適切。
・D:投資額を減らすことはリスク調整割引率法の手法ではないため不適切。
・E:リスクとリターンのトレードオフ原則に基づき高リスクのプロジェクトには高い割引率(要求収益率)を設定することで将来CFの現在価値を保守的に評価し過大投資を防ぐリスク調整割引率法の基本として適切。


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