問16:パレート効率性(パレート最適)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:パレート効率的な状態とは、他の誰かの効用を悪化させることなしには、いかなる人の効用も高められない資源配分の状態を指す
- B:パレート効率的な配分は、必ず所得分配の公平性を満たしている
- C:パレート効率的な状態は、常に唯一つに定まる
- D:完全競争市場の均衡は、いかなる場合もパレート効率的にならない
- E:ある人の効用を高めるために他者の効用を犠牲にできる状態を、パレート効率的という
【第16問:正解と解説】
正解:A
・A
適切。パレート効率的な状態とは、他の誰かの効用を悪化させずにはいかなる人の効用も高められない資源配分の状態を指す。
・B
不適切。パレート効率性は効率性の概念であり所得分配の公平性を保証しないため、必ず公平性を満たすとする記述は誤りである。
・C
不適切。パレート効率的な配分は一般に複数存在しうるため、常に唯一つに定まるとする記述は誤りである。
・D
不適切。厚生経済学の第一定理により完全競争市場の均衡はパレート効率的となりうるため、いかなる場合もならないとする記述は誤りである。
・E
不適切。他者の効用を犠牲にすれば誰かの効用を高められる状態はまだ改善余地があり、パレート効率的ではない。
問17:外部性の解決に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:外部性の解決には、必ず政府による課税が必要である
- B:所有権が明確に設定され取引費用が無視できるほど小さいなら、当事者間の自発的な交渉によって外部性が効率的に解決されうる(コースの定理)
- C:コースの定理によれば、所有権が明確でなくても交渉で効率的な配分が達成される
- D:コースの定理によれば、実現する資源配分は所有権をどちらに割り当てるかによって必ず異なる
- E:ピグー税は、外部費用とは無関係に一律の税率で課される
【第17問:正解と解説】
正解:B
・A
不適切。外部性は当事者間の交渉でも解決されうるため、必ず政府の課税が必要とする記述は誤りである。
・B
適切。所有権が明確で取引費用が無視できるほど小さいなら、当事者間の交渉で外部性が効率的に解決されうる(コースの定理)。
・C
不適切。コースの定理は所有権の明確化を前提とするため、明確でなくても達成されるとする記述は誤りである。
・D
不適切。コースの定理では効率的配分は所有権の割当先によらず実現しうるため、必ず異なるとする記述は誤りである。
・E
不適切。ピグー税は外部限界費用に等しい水準で課すものであり、外部費用と無関係の一律税率とする記述は誤りである。
問18:規模に関する収穫と長期費用に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:規模に関する収穫一定のもとでは、長期平均費用は生産量の増加につれて低下する
- B:規模に関する収穫逓減のもとでは、長期平均費用は生産量の増加につれて低下する
- C:全要素を同じ割合で増やしたとき、産出量がそれより大きい割合で増えるのが規模に関する収穫逓増であり、これは長期平均費用の低下(規模の経済)と結びつく
- D:規模に関する収穫逓増は、必ず短期の収穫逓減と矛盾する
- E:全要素を2倍にして産出が2倍未満になる場合を、規模に関する収穫逓増という
【第18問:正解と解説】
正解:C
・A
不適切。規模に関する収穫一定のもとでは長期平均費用は一定となるため、低下するとする記述は誤りである。
・B
不適切。規模に関する収穫逓減のもとでは長期平均費用は上昇するため、低下するとする記述は誤りである。
・C
適切。全要素を同じ割合で増やしたとき、産出量がそれより大きい割合で増えるのが規模に関する収穫逓増であり、長期平均費用の低下(規模の経済)と結びつく。
・D
不適切。規模に関する収穫(全要素)と短期の収穫逓減(一要素)は異なる概念であり、必ず矛盾するとする記述は誤りである。
・E
不適切。全要素を2倍にして産出が2倍未満になるのは規模に関する収穫逓減であり、収穫逓増とする記述は誤りである。
問19:寡占市場の競争モデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:クールノー競争では、各企業が相手の価格を所与として自らの価格を決定する
- B:ベルトラン競争(同質財)では、均衡価格が独占価格まで上昇する
- C:シュタッケルベルグ競争では、追随者が先導者より多くの生産量を得る
- D:クールノー競争は相手の生産量を所与に生産量を決める同時手番のモデルで総生産量は独占より多く完全競争より少なく、同質財のベルトラン競争は価格を限界費用まで下げうる
- E:屈折需要曲線の理論は、寡占市場で価格が頻繁に変動することを説明する
【第19問:正解と解説】
正解:D
・A
不適切。相手の価格を所与に価格を決めるのはベルトラン競争であり、クールノー競争は相手の生産量を所与に生産量を決める。
・B
不適切。同質財のベルトラン競争では価格が限界費用まで下がるため、独占価格まで上昇するとする記述は誤りである。
・C
不適切。シュタッケルベルグ競争では先導者の方が多くの生産量を得るため、追随者の方が多いとする記述は誤りである。
・D
適切。クールノー競争は生産量を戦略変数とする同時手番で総生産量は独占より多く完全競争より少なく、同質財のベルトラン競争は価格を限界費用まで下げうる。
・E
不適切。屈折需要曲線の理論は寡占市場の価格の硬直性を説明するものであり、価格が頻繁に変動することを説明するものではない。
問20:厚生経済学の基本定理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A:第一定理は、いかなる資源配分も競争均衡として実現できることを示す
- B:第一定理は、競争均衡が必ず所得分配の公平性を満たすことを保証する
- C:第二定理は、外部性や公共財が存在しても競争均衡が効率的であることを示す
- D:第一定理は、独占市場の均衡がパレート効率的であることを示す
- E:第一定理は、外部性などの市場の失敗がない完全競争市場の均衡がパレート効率的であることを示し、第二定理は適切な所得の再分配(一括移転)を行えば任意のパレート効率的配分を競争均衡として実現しうることを示す
【第20問:正解と解説】
正解:E
・A
不適切。任意の配分を競争均衡として実現できるとするのは適切な再分配を前提とする第二定理の趣旨であり、第一定理の説明としては誤りである。
・B
不適切。第一定理は効率性を示すものであり所得分配の公平性を保証しないため、公平性を保証するとする記述は誤りである。
・C
不適切。外部性や公共財があると競争均衡は効率的にならないため、存在しても効率的とする記述は誤りである。
・D
不適切。第一定理は完全競争市場の均衡について述べるものであり、独占市場の均衡が効率的とする記述は誤りである。
・E
適切。第一定理は市場の失敗がない完全競争均衡がパレート効率的であることを示し、第二定理は適切な一括移転で任意のパレート効率的配分を競争均衡として実現しうることを示す。

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