問1:以下の資料に基づき、加重平均資本コスト(WACC)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【資料】
・負債の時価 400百万円(利子率4%)
・株主資本の時価 600百万円
・株主資本コスト 10%
・法人税等の実効税率 30%
- A:5.68%
- B:7.00%
- C:7.12%
- D:7.60%
【第1問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】負債と株主資本のウェイトを逆にした誤り(0.6×4%×0.7+0.4×10%=5.68%)。
・B
【選択肢解説】負債コストと株主資本コストを単純平均した誤り((4%+10%)÷2=7%)。時価によるウェイト付けと負債の節税効果の反映が必要である。
・C
【論点】WACCの計算(時価ウェイト・負債の節税効果)。【考え方】WACC=負債比率0.4×負債コスト4%×(1-税率0.3)+株主資本比率0.6×株主資本コスト10%=1.12%+6.0%=7.12%。負債コストには(1-税率)を乗じるが、株主資本コストには乗じない点に注意する。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】負債の節税効果を反映しなかった誤り(0.4×4%+0.6×10%=7.6%)。支払利息は損金算入されるため税引後コストで計算する。
関連過去問:R5,問14/R2,問14
問2:以下の資料に基づき、CAPM(資本資産評価モデル)による当社の株主資本コストとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【資料】
・安全利子率(リスクフリーレート) 2%
・市場ポートフォリオの期待収益率 8%
・当社株式のベータ値 1.5
・当社株式の配当利回り 3%
- A:8%
- B:11%
- C:12%
- D:14%
【第2問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】ベータ値を考慮せず、市場リスクプレミアムをそのまま加算した誤り(2%+(8%-2%)=8%)。
・B
【論点】CAPMによる株主資本コストの計算。配当利回りはCAPMの計算には用いない紛れの資料である。【考え方】株主資本コスト=安全利子率+β×(市場ポートフォリオの期待収益率-安全利子率)=2%+1.5×(8%-2%)=2%+9%=11%。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】安全利子率の加算を忘れた誤り(1.5×8%=12%)。
・D
【選択肢解説】市場リスクプレミアム(8%-2%)ではなく市場期待収益率8%にベータを乗じた誤り(2%+1.5×8%=14%)。
関連過去問:R4,問15/H30,問16
問3:当社の株式の現在の株価は2,000円であり、次期(1年後)の予想配当は1株当たり100円である。配当は今後、毎年3%の一定率で成長すると見込まれている。配当割引モデル(定率成長モデル)による当社の株主資本コストとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- A:3%
- B:5%
- C:8%
- D:8.15%
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】3%は配当の成長率のみであり、配当利回り部分が考慮されていない。
・B
【選択肢解説】5%は予想配当利回り(100÷2,000)のみであり、成長率が考慮されていない。
・C
【論点】定率成長配当割引モデルの変形による株主資本コストの算定。【考え方】定率成長モデル:株価P=D1÷(k-g)より、株主資本コストk=D1÷P+g=100÷2,000+3%=5%+3%=8%。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】次期の予想配当100円にさらに成長率を乗じた誤り(100×1.03÷2,000+3%≒8.15%)。資料の100円はすでに次期の予想配当である。
関連過去問:R3,問15/H29,問17
問4:MM理論(法人税が存在する場合)を前提とする。負債のない場合の企業価値が10,000百万円である企業が、4,000百万円の負債を導入した場合の企業価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、法人税等の実効税率は30%とする。
- A:8,800百万円
- B:11,200百万円
- C:14,000百万円
- D:10,000百万円
【第4問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】節税効果を減算した誤り(10,000-1,200=8,800百万円)。負債の節税効果は企業価値を増加させる。
・B
【論点】法人税を考慮したMM理論(修正命題)による企業価値の計算。【考え方】負債利用企業の価値=無負債企業の価値+負債×税率(節税効果の現在価値)=10,000+4,000×0.3=11,200百万円。支払利息の損金算入による節税効果の分だけ企業価値が高まる。【選択肢解説】正しい。
・C
【選択肢解説】負債額の全額を加算した誤り(10,000+4,000=14,000百万円)。加算されるのは負債×税率の節税効果である。
・D
【選択肢解説】10,000百万円は法人税が存在しない場合のMM理論の結論(資本構成は企業価値に無関係)であり、法人税が存在する本問では節税効果の分だけ企業価値が増加する。
関連過去問:R6,問16/R1,問17
問5:当社の総資本は10,000千円であり、負債と自己資本の比率(D/E比率)は1である。総資本営業利益率(ROA)は8%、負債の利子率は4%である。税金を考慮しない場合の自己資本利益率(ROE)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- A:4%
- B:8%
- C:12%
- D:16%
【第5問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】4%は負債利子率であり、ROEではない。
・B
【選択肢解説】8%はROA(総資本営業利益率)であり、レバレッジ効果を考慮したROEではない。
・C
【論点】財務レバレッジ効果の公式(ROE=ROA+(ROA-負債利子率)×D/E)による計算。【考え方】負債5,000千円、自己資本5,000千円(D/E=1)。営業利益=10,000×8%=800千円。支払利息=5,000×4%=200千円。利益(税引前)=600千円。ROE=600÷5,000=12%。公式でも8%+(8%-4%)×1=12%となる。【選択肢解説】正しい。
・D
【選択肢解説】D/E比率を2として計算した誤り(8%+4%×2=16%)、または財務レバレッジ2倍をROAに単純に乗じた誤り(8%×2=16%)。
関連過去問:R2,問15/H28,問16
