財務・会計 ⑥応用編_意思決定会計_1問〜5問

問1:外注か自社製造かの意思決定において、自社製造を選択する際に「機会コスト」として考慮すべきものはどれか。

  • A:購入する場合の材料費
  • B:製造ラインを自社製造に転用したことで失う、他製品の貢献利益
  • C:製造現場の光熱費
  • D:既存設備の減価償却費
  • E:製造担当者の固定給与
【第1問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:材料費は直接発生する差額原価であり機会コストの定義ではないため不適切。
・B:自社製造のために他製品の生産を諦める場合その諦めた利益(貢献利益)が機会コストとして意思決定に加算すべきコストとなるため適切。
・C:光熱費は直接発生する差額原価(増分コスト)であり機会コストではないため不適切。
・D:既存設備の減価償却費は過去の投資に基づくサンクコストであり考慮外であるため不適切。
・E:固定給与は自社製造の有無で変化しない限り無視すべき非関連原価であるため不適切。


問2:特別注文の受諾判断において、自社の生産能力に余裕がある場合とない場合で判断が異なる理由はどれか。

  • A:余裕がない場合、変動費が上昇するから
  • B:余裕がない場合、固定費が減少するから
  • C:余裕がない場合、販売価格が下落するから
  • D:余裕がない場合、既存製品を諦めるための機会コストが発生するから
  • E:余裕がない場合、税率が変化するから
【第2問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:変動費の上昇は生産能力の余裕・不足とは直接関係しないため不適切。
・B:固定費は生産能力の余裕・不足によって減少するわけではないため不適切。
・C:販売価格の下落は外部市場要因であり生産能力の余裕・不足とは直接関係しないため不適切。
・D:生産能力に余裕がない場合は新規注文を受けるために既存製品を減産する必要がありその利益喪失分が機会コストとして発生するため判断が複雑になるため適切。
・E:税率の変化は生産能力の余裕・不足とは無関係であるため不適切。


問3:設備投資の意思決定において、現金支出を伴わない「減価償却費」をCF計算で足し戻す理由はどれか。

  • A:減価償却費は損益計算書上では費用だが、現金流出を伴わないため
  • B:法人税を節税するため
  • C:設備投資額を減らすため
  • D:将来の利益を高く見せるため
  • E:会計上の利益と一致させるため
【第3問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:投資の意思決定は現金収支(キャッシュフロー)を基礎とするため損益計算書上の費用として差し引かれた減価償却費(現金流出なし)を間接法で足し戻すことで純粋な現金収支に調整する。なお減価償却費は法人税の計算上は費用として認められ税負担を軽減する節税効果(タックスシールド)を持つため税引後CFの算定ではこの効果も合わせて考慮する必要があり適切。
・B:節税効果は税引後CFの計算に影響するが足し戻す直接的な理由は非資金項目だからであるため不適切。
・C:設備投資額の調整とは目的が異なるため不適切。
・D:将来の利益を操作することが目的ではなく現金収支の正確な把握が目的であるため不適切。
・E:会計上の利益と一致させる必要はなく現金収支を正確に示すために調整するため不適切。


問4:事業廃止の意思決定において、回避不能な「共通固定費」を考慮すべきでない理由はどれか。

  • A:共通固定費は会計上の利益に影響しないから
  • B:共通固定費は変動費だから
  • C:廃止しても廃止しなくても金額が変わらない(差額が生じない)から
  • D:共通固定費は全社的な費用であるため意思決定とは無関係だから
  • E:共通固定費は税務上損金になるから
【第4問:正解と解説】

正解:Option_C
【解説】
・A:共通固定費は損益計算書に計上されるため会計上の利益に影響するため不適切。
・B:共通固定費は固定費であり変動費ではないため不適切。
・C:関連原価の定義に基づき意思決定によって増減しないコストは考慮不要であり共通固定費は事業廃止の有無に関わらず発生し続けるため差額が生じず無視すべきであるため適切。
・D:全社的な費用であることが無視する理由ではなく意思決定によって変化しないことが無視する理由であるため不適切。
・E:損金算入可否は税務上の問題であり意思決定会計での考慮要否とは別の話であるため不適切。


問5:製品Aの製造可否を検討している。製品Aに配賦されている固定費500万円は、製品Aの製造を中止しても他製品に配賦され直し、全社的には依然として発生し続けるものである。この場合、製造間接費の配賦額が意思決定を歪める可能性があるのはなぜか。

  • A:配賦基準が複雑すぎるから
  • B:税法上のルールが厳しすぎるから
  • C:製造間接費がすべて変動費だから
  • D:固定費の配賦は、実際には変化しないのに製造量に応じて変動するような誤解を招くから
  • E:配賦額が利益を常に減らすから
【第5問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:配賦基準の複雑さは意思決定を歪める直接的な理由ではないため不適切。
・B:税法上のルールは製造間接費配賦が意思決定を歪める理由とは無関係であるため不適切。
・C:製造間接費には変動費と固定費の両方が含まれており全部が変動費ではないため不適切。
・D:製品Aに配賦された500万円の固定費は製造中止後も全社的に発生し続け実際には変化しないにもかかわらず製品原価として算入されることで製品Aのコストが見かけ上増減するかのような錯覚を生み製造中止の判断を誤らせる可能性があるため適切。
・E:配賦額が利益に影響することは事実だが配賦が意思決定を歪める主な理由は固定費の誤解招致であるため不適切。


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