財務・会計 ⑦応用編_資本コストと資金調達_26問〜30問

問26:資本コスト概念の適用において、「プロジェクトごとのリスク」を無視して全社一律のWACCを用いることの弊害はどれか。

  • A:計算が合わなくなる
  • B:株主から文句が出る
  • C:低リスク事業を過小評価し、高リスク事業を過大評価してしまう可能性がある
  • D:税務署に指摘される
  • E:何も問題ない
【第26問:正解と解説】

正解:Option_C
【解説】
・A:計算上の不整合は直接の弊害ではなく意思決定の歪みが本質的問題であるため不適切。
・B:株主から文句が出ることは二次的な結果でありWACCの一律適用の直接的弊害の説明としては不十分であるため不適切。
・C:低リスクのプロジェクトに過大なWACCを適用すると本来実施すべき投資が却下され高リスクのプロジェクトに過小なWACCを適用すると過剰投資が起きるという資本配分の歪みが生じるため適切。
・D:税務署への影響はWACCの適用方法と直接関係しないため不適切。
・E:資本配分の歪みという重大な弊害が生じるため問題なしとは言えないため不適切。


問27:「負債コスト(税引前)」と「市場金利(国債利回り)」の関係として、一般的なものはどれか。

  • A:国債利回りの方が常に高い
  • B:どちらも全く同じである
  • C:企業の負債コストは無視できる
  • D:企業の信用リスクが上乗せされるため、負債コスト > 国債利回り
  • E:無関係である
【第27問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:国債は最も信用力が高い(リスクフリー)資産であるため企業の借入金利より低くなるのが一般的であるため不適切。
・B:信用リスクの存在により両者の利回りは一般的に一致しないため不適切。
・C:負債コストはWACCの重要な構成要素であり無視できないため不適切。
・D:企業は国債と異なり倒産リスクを有するため債権者は国債利回り(リスクフリーレート)に信用リスクプレミアムを上乗せして貸し出すのが一般的であり負債コスト>国債利回りとなるため適切。
・E:国債利回りは企業の負債コストの基準(リスクフリーレート)となるため無関係ではないため不適切。


問28:資本コストの観点から見て、ROE(自己資本利益率)が資本コストを上回るべき理由はどれか。

  • A:銀行が許さないから
  • B:株主の要求リターンを超えないと、企業価値(株主価値)を破壊してしまうから
  • C:法律で決まっているから
  • D:それが一番見栄えが良いから
  • E:株主の数が減るから
【第28問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:銀行の許可とROEの水準は直接関係しないため不適切。
・B:ROEが株主資本コスト(株主の要求収益率)を下回る場合は株主の期待に応えられず株主価値を破壊することになるという経済的付加価値(EVA)の考え方に基づく経営の本質として適切。
・C:ROEと株主資本コストの関係は法律で規定されているわけではなく財務理論に基づく原則であるため不適切。
・D:見栄えの問題ではなく株主価値の創造・破壊という本質的な理由があるため不適切。
・E:ROEと株主数の直接的な関係は一般的に成立しないため不適切。


問29:企業が「自社株買い」を行うと、資本構成にどのような影響が出るか。

  • A:自己資本が減少し、負債比率が相対的に高まる(財務レバレッジが変わる)
  • B:負債が減る
  • C:資産が増える
  • D:何も起きない
  • E:株主の数は増える
【第29問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:自社株買いは株主に現金を払い戻すことで自己資本(純資産)が減少し総資本に占める負債の比率が相対的に高まるため財務レバレッジが変化するという資本構成への影響として適切。
・B:自社株買いは自己資本に影響を与えるものであり負債が直接減少するわけではないため不適切。
・C:自社株買いは現金の流出と自己株式(純資産のマイナス)の増加を意味するため資産が増えるとは逆の方向であるため不適切。
・D:自己資本・財務レバレッジ・EPS等に影響を与えるため何も起きないとは言えないため不適切。
・E:自社株買いにより流通株式数が減少するため株主数は増えるどころか減少する可能性があるため不適切。


問30:WACCの計算式において、負債コストと自己資本コストを乗じるウェイト(比率)に「簿価」と「時価」のどちらを使うべきか。

  • A:簿価が常に正しい
  • B:時価は計算が面倒なので使うべきではない
  • C:どちらでも結果は同じである
  • D:理論的には「時価」が望ましい(投資家の現在価値を反映するため)
  • E:法律で簿価と定められている
【第30問:正解と解説】

正解:Option_D
【解説】
・A:簿価は過去の取得原価に基づく情報であり現在の市場価値を反映しないため常に正しいとは言えないため不適切。
・B:時価の計算は複雑な場合もあるが理論的正確性のために使用すべきであり面倒だからという理由で避けるべきではないため不適切。
・C:簿価と時価は乖離する場合が多くWACCの計算結果も異なるため同じとは言えないため不適切。
・D:WACCの理論的整合性は投資家が現在の市場環境で行う意思決定を反映するため現在の市場価値(時価)でウェイトを算定することが理論上望ましいとされるため適切。
・E:WACC計算でのウェイトに関し簿価使用を法律で定めた規定はないため不適切。


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