問6:内部留保に対する資本コストが、配当による外部調達コストと同等(またはそれ以上)とみなされる理由はどれか。
- A:会社が内部留保に税金を支払っているから
- B:内部留保は負債の性質を持つから
- C:内部留保を再投資しても利益が出ないから
- D:株主が内部留保を配当として受け取り、他の投資機会に回せたはずの収益機会(機会コスト)を放棄しているから
- E:内部留保は現金として管理されているから
【第6問:正解と解説】
正解:Option_D
【解説】
・A:税金は内部留保に資本コストが発生する直接の理由ではないため不適切。
・B:内部留保は自己資本の構成要素であり負債の性質とは異なるため不適切。
・C:再投資の成否に関わらず機会コストの概念は発生するため不適切。
・D:株主の視点から見れば内部留保は「自分たちの資金が会社に留まっている」状態であり配当として受け取れば他の投資機会に活用できたはずの収益(機会コスト)を諦めているため同等以上の資本コストが発生するという論理として適切。
・E:内部留保は資産全体に投下されており現金のみとして管理されているとは限らないため不適切。
問7:負債の「節税効果」がWACCに与える影響を数式で表す際の正しい表現はどれか。
- A:負債コストに法人税率を乗じる
- B:負債コストから法人税率を引く
- C:負債コストを (1 – 法人税率) で割る
- D:法人税率を負債コストに加える
- E:負債コストに (1 – 法人税率) を乗じる
【第7問:正解と解説】
正解:Option_E
【解説】
・A:法人税率のみを乗じるとシールド分だけを計算することになり税引後コストの式としては誤りであるため不適切。
・B:法人税率を引く式は次元が異なり計算として成立しないため不適切。
・C:割り算の式は税引後負債コストの算出として成立しないため不適切。
・D:加算の式は節税効果とは逆方向であり成立しないため不適切。
・E:支払利息は課税所得から控除できるため実質的な負担は税引前利息額×(1-法人税率)となるというタックスシールドの計算式として適切。
問8:資本コストの算定において、「株主資本コスト」の推定に用いられる配当割引モデル(DDM)の課題はどれか。
- A:将来の配当成長率の予測が極めて困難であること
- B:配当を支払っていない企業には適用できないこと
- C:株価データが必要であること
- D:計算式が複雑すぎること
- E:税金の影響を考慮できないこと
【第8問:正解と解説】
正解:Option_A
【解説】
・A:DDMは将来の配当成長率(g)の予測値に計算結果が大きく左右されるため成長率の見積もりの不確実性が最大の課題として適切。
・B:配当ゼロ企業への適用困難はDDMの欠点の一つだが変形モデルで対応可能な場合もあり最大の問題は成長率予測の困難さであるため不適切。
・C:株価データはCAPM等でも必要となるためDDM固有の最大課題とは言えないため不適切。
・D:DDMの計算式自体の複雑さは最大の課題ではなく成長率予測の不確実性が本質的問題であるため不適切。
・E:DDMは税金の影響を一定程度考慮した形で計算されるためこれが課題とは言えないため不適切。
問9:優先株式の資本コストの性質として適切なものはどれか。
- A:負債として扱われ、節税効果がある
- B:普通株式と同様に議決権が完全にある
- C:配当は支払わなくてもよい完全に自由な資本である
- D:元本の返済義務が明確に決まっている
- E:負債と普通株式の中間的性質を持ち、配当は累積的であることが多い
【第9問:正解と解説】
正解:Option_E
【解説】
・A:優先株式は株式の一種であり負債として扱われる会計処理は適用されず節税効果もないため不適切。
・B:優先株式は一般に議決権が制限または剥奪されている場合が多く完全な議決権があるとは言えないため不適切。
・C:累積型優先株式では未払配当が翌期に繰り越されるため支払わなくてよい完全に自由な資本とは言えないため不適切。
・D:株式には元本の返済義務がないのが原則であるため不適切。
・E:優先株式は普通株に対して配当の優先権を持ちながら議決権が制限されるなど負債と株式の中間的(ハイブリッド)な性質を持ちかつ累積型では未払配当が翌期に累積される特性があるため適切。
問10:企業の資本構成を変更する際、WACCを最小化するポイントを何と呼ぶか。
- A:ターゲット資本コスト
- B:損益分岐資本比率
- C:レバレッジ限界点
- D:最適資本構成
- E:時価総額最大化点
【第10問:正解と解説】
正解:Option_D
【解説】
・A:ターゲット資本コストは目標水準の資本コストを指す語であり最適資本構成の定義ではないため不適切。
・B:損益分岐資本比率はCVP分析の概念に近い語であり最適資本構成の専門用語ではないため不適切。
・C:レバレッジ限界点は最適資本構成の正式な用語ではないため不適切。
・D:WACCを最小化し企業価値(株主価値)を最大化する負債と自己資本の最適な組み合わせを最適資本構成と呼ぶため適切。
・E:時価総額最大化点は株主価値の観点では関連するが最適資本構成の定義としては不正確であるため不適切。

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