企業経営理論④応用編コア・コンピタンス16問〜20問

問16:コア・コンピタンスの「希少性(Rarity)」が時間とともに失われる要因として、最も可能性が高いものはどれか。

  • A:特許権が永続的に更新され続けること
  • B:競合他社が類似の技術を開発・導入したり、標準化が進んだりすること
  • C:自社のブランド力が維持されること
  • D:顧客ニーズが多様化すること
  • E:従業員のスキルがさらに向上すること
【第16問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:特許が更新されれば保護は続くため、希少性は失われにくいため不適切。
・B:特定の技術や能力が市場で広く普及(標準化)したり、競合が追いついたりすることで、かつての「珍しい(希少な)」強みが「どこにでもある」ものになり、希少性が失われるため正解。
・C:ブランド力は希少性を維持または向上させる要因であるため不適切。
・D:ニーズの多様化は新たな機会を生む可能性があり、希少性を直ちに失わせるものではないため不適切。
・E:スキルの向上は競争優位を強化する方向へ働くため不適切。


問17:「ダイナミック・ケイパビリティ(Dynamic Capabilities)」とコア・コンピタンスの関連性について、最も適切な記述はどれか。

  • A:コア・コンピタンスがあれば、ダイナミック・ケイパビリティは不要である
  • B:ダイナミック・ケイパビリティは、環境変化に合わせてコア・コンピタンスを再構成・変革するための能力である
  • C:両者は全く無関係の理論であり、組み合わせることはできない
  • D:ダイナミック・ケイパビリティは短期的な売上改善のための手法である
  • E:コア・コンピタンスはダイナミック・ケイパビリティに含まれる一機能に過ぎない
【第17問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:環境変化が激しい現代では、コア・コンピタンスを維持するだけでなく変化させる能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が不可欠であり不適切。
・B:環境変化が激しい市場において、自社のリソースやコア・コンピタンスを柔軟に作り変えたり、適応させたりする能力こそがダイナミック・ケイパビリティであり正解。
・C:両者は補完的な関係にある経営理論であり、組み合わせることでより強固な戦略となるため不適切。
・D:短期的手法ではなく、組織の長期的な適応能力を指すため不適切。
・E:機能というよりは上位の概念や異なる視点であり、「含まれる」と断定するのは不適切。


問18:コア・コンピタンス経営において、M&A(合併・買収)を行う際の最も重要な戦略的判断基準は何か。

  • A:被買収企業の売上高が自社より大きいかどうか
  • B:被買収企業の持つ技術や能力が、自社のコア・コンピタンスを強化・補完できるかどうか
  • C:被買収企業の従業員数が、自社の人員増強に寄与するかどうか
  • D:被買収企業を解体して、資産を売却することで短期間の利益が出るかどうか
  • E:競合他社の買収を単に阻止するため
【第18問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:売上規模は指標の一つだが、戦略的補完性がなければ長続きしないため不適切。
・B:M&Aを通じて自社に欠けている能力(コンピタンス)を取り込み、全体としてのコア・コンピタンスの質を高めたり適用範囲を広げたりすることが戦略的成功の鍵であるため正解。
・C:人員増強は副次的な効果であり、能力の補完が優先されるため不適切。
・D:資産売却による利益確保はM&Aの主目的ではなく、戦略的な成長とは無関係なため不適切。
・E:阻止のための買収はコストが大きく、本質的な競争優位につながらないため不適切。


問19:コア・コンピタンスの構築において「組織学習(Organizational Learning)」が不可欠な理由は何か。

  • A:個人の知識を組織全体に展開・蓄積し、能力を継続的に進化させる必要があるから
  • B:法律で、社員の研修を行うことが義務付けられているから
  • C:学習記録を公表することで、顧客からの信頼を得るため
  • D:コンサルタントへの報酬を支払うための根拠が必要だから
  • E:全従業員のスキルを一律に統一するため
【第19問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:コア・コンピタンスは組織的な能力の束であり、個人レベルの知識を組織的に共有・定着させ、試行錯誤を経て進化させ続ける仕組みこそが学習であるため正解。
・B:法律の有無ではなく、競争優位のための戦略的必要性であるため不適切。
・C:信頼獲得は結果的な効果であり、組織学習の本質的理由ではないため不適切。
・D:コンサルタントの報酬とは無関係であるため不適切。
・E:多様なスキルを活かしつつ、組織としての強みに統合することが重要であり、一律化は不適切。


問20:コア・コンピタンスが陳腐化する最大のサインはどれか。

  • A:従業員数が減少したこと
  • B:顧客ニーズが変化しているにも関わらず、既存の技術・製品・成功体験に固執し続けていること
  • C:競合他社が新しいキャンペーンを始めたこと
  • D:オフィスを移転したこと
  • E:株主から増配を求められたこと
【第20問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:人員削減は経営判断の一つであり、コンピタンスの陳腐化を直接示すものではないため不適切。
・B:環境変化に対して自己変革を行わず、過去の成功の根拠となった強みにしがみつくことは「成功の罠」に陥っている証拠であり、陳腐化の兆候として最も重大であるため正解。
・C:競合の活動は日常的なものであり、単体では陳腐化のサインとは言えないため不適切。
・D:オフィスの移転と経営能力の陳腐化は無関係であるため不適切。
・E:増配要求は財務的なステークホルダーの期待であり、能力の陈腐化とは直接関係ないため不適切。


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