財務・会計 ⑧応用編_投資評価_1問〜5問

問1:複数の投資案を比較する際、NPV法とIRR法で優劣の順位が逆転する現象の主な原因はどれか。

  • A:計算上のミスによるもの
  • B:再投資収益率の仮定の違い(NPVは割引率、IRRはIRR自身と仮定)
  • C:税率の変動によるもの
  • D:貨幣の時間価値を無視したことによるもの
  • E:投資額がゼロであること
【第1問:正解と解説】

正解:Option_B
【解説】
・A:計算ミスは理論的な順位逆転の理由ではないため不適切。
・B:NPVは資本コスト(割引率)で再投資を仮定するのに対しIRRは算出されたIRR自体で再投資を仮定するため投資規模や期間によって順位が逆転しうるという両手法の本質的な差異として適切。
・C:税率は両手法に同様に影響するため順位逆転の主因ではないため不適切。
・D:NPV法もIRR法もともに時間価値を考慮しているため不適切。
・E:投資額がゼロなら評価対象外となり順位比較ができないため不適切。


問2:実物オプションを用いた投資評価において、投資を「延期する権利」を保持することの意義はどれか。

  • A:将来の不確実性が高い場合、待機することで情報を収集し、損失リスクを回避できるから
  • B:現在の投資額を少なくできるから
  • C:政府の補助金が得られるから
  • D:将来の利益が確実になるから
  • E:株価が上昇するから
【第2問:正解と解説】

正解:Option_A
【解説】
・A:延期オプションの価値は不確実な状況下で情報収集の機会を得て早期投資のリスクを回避しながら将来の意思決定の柔軟性を保つことにあるため適切。
・B:投資を延期しても投資額そのものが減るわけではないため不適切。
・C:政府補助金は延期オプションの本質的な意義ではないため不適切。
・D:延期しても将来の利益が確実になるわけではなく不確実性は残るため不適切。
・E:株価への影響は延期オプションの直接的な意義とは異なるため不適切。


問3:減価償却費の税効果を考慮した税引後キャッシュフローの算出式として正しいものはどれか。(T:法人税率、D:減価償却費)

  • A:(税引前利益 × (1-T))+ (D × T)
  • B:(税引前利益 + D)× (1-T)
  • C:税引前利益 × (1-T)
  • D:税引前利益 + D
  • E:(税引前利益 × (1-T))+ D
【第3問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:税引後CF=税引後利益+減価償却費であり減価償却費は現金支出を伴わないため一度損益計算上で差し引いた後(税引前利益を算出)に(1-T)を乗じて税引後利益を求めその後Dを足し戻すという計算が正しくOption_Bの式として適切。
・B:(税引前利益+D)×(1-T)は減価償却費に税率がかかる構造になっており節税効果の計算として誤りであるため不適切。
・C:税引前利益×(1-T)のみでは減価償却費の足し戻しが欠けており実際の現金収支を過小評価するため不適切。
・D:税引前利益+Dはそのままでは税金を控除しておらず税引後CFの計算式ではないため不適切。
・E:D×Tは減価償却費の節税効果(タックスシールド額)のみを示す値であり正しいCF全体の計算式にはならないため不適切。


問4:mutually exclusive(排他的)な投資案を選択する際、NPV法がIRR法より優れている論理的根拠はどれか。

  • A:IRRの方が計算が早いため
  • B:NPVの方が投資期間が短いため
  • C:NPVは絶対的な金額としての富の増加を示すため、企業価値の最大化に直結するから
  • D:IRRは再投資収益率が現実的であるため
  • E:NPVは税金を考慮しないため
【第4問:正解と解説】

正解:Option_C
【解説】
・A:計算速度はNPV法の理論的優位性の根拠にはならないため不適切。
・B:投資期間の長短はNPV法とIRR法の比較の本質的論拠ではないため不適切。
・C:排他的投資案の選択では利益率(IRR)より絶対額(NPV)が大きい方が企業に帰属する富の増加が大きく企業価値最大化に直結するというNPV法の本質的優位性として適切。
・D:IRRの再投資仮定はIRRで再投資される非現実的な仮定であるためNPV法より劣るとされるため不適切。
・E:NPVも税引後CFを用いるため税金を考慮しないという説明は誤りであるため不適切。


問5:全社のWACCが6%である企業が、ハイリスクな新規事業(既存事業よりリスクが明らかに高い)への投資を検討している。この場合の割引率の設定として適切なものはどれか。

  • A:全社WACCである6%をそのまま割引率として使う
  • B:リスクを無視して6%より低い割引率を使う
  • C:割引率を0%として評価する
  • D:新規事業の利益率をそのまま割引率として使う
  • E:新規事業固有のリスクを反映し、全社WACC6%にリスクプレミアムを上乗せした割引率を用いる
【第5問:正解と解説】

正解:Option_E
【解説】
・A:全社WACCをそのまま使うとハイリスク事業のリスクが過小評価され誤った投資判断(過剰投資)を招く可能性があるため不適切。
・B:リスクが高い事業に対してより低い割引率を使うことはリスクを無視する方向であり評価を誤らせるため不適切。
・C:割引率を0%にすると時間価値もリスクも一切反映されずあらゆる投資が魅力的に見えてしまうため不適切。
・D:新規事業の利益率は投資家の要求収益率(資本コスト)とは異なる概念であり割引率の代わりに用いることは理論的に不適切。
・E:全社平均のWACC(6%)をハイリスクな新規事業にそのまま適用すると本来必要なリスクプレミアムが反映されず投資価値を過大評価してしまうため事業固有のリスクに応じてWACCに上乗せした調整済み割引率を用いるべきであり適切。


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