企業経営理論⑥応用編_モチベーション26問〜30問

問26:V.ヴルームの期待理論において、モチベーションを形成する各要素(期待・手段性・誘意性)が「乗法的関係(掛け算)」であることの経営学的含意として最も適切なものはどれか。

  • A:どれか一つの要素が欠けていても(ゼロであっても)、他の要素が高ければモチベーションは高い水準で維持される
  • B:いずれか一つでも「ゼロ」に近い要素があると、モチベーション全体が著しく低下またはゼロになるため、全ての要素をバランスよく高める必要がある
  • C:期待だけを極限まで高めれば、手段性や誘意性が低くてもモチベーションは最大化される
  • D:モチベーションは各要素の「合計」によって決まるため、どれか一つが非常に高ければ他は低くても問題ない
  • E:乗法モデルは理論的な仮説に過ぎず、実務上のモチベーション管理とは無関係である
【第26問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:掛け算モデルであるため、一つがゼロなら全体がゼロになり、一定水準は保たれないため不適切。
・B:期待理論の核心は、努力・成果・報酬の連鎖が一つでも断たれるとモチベーションが機能しなくなる点にあり、全ての要素が揃うことが重要であるため正解。
・C:掛け算のため、他の要素が低いと全体も低くなるため不適切。
・D:加法モデルではなく乗法モデルであるため不適切。
・E:期待理論はモチベーション管理の極めて実務的な枠組みであり、無関係とは言えないため不適切。


問27:マズローの欲求段階説における「承認欲求」が充足された状態が、組織において「自己実現欲求」への移行を促進するために必要な条件は何か。

  • A:承認欲求を完全に否定し、生存本能のみを刺激し続けること
  • B:他者からの承認だけでなく、自分自身で自身の能力や価値を認められる(自律的な評価)環境が整っていること
  • C:給与のみを大幅に引き上げ、承認欲求を金銭で置き換えること
  • D:承認欲求が満たされたら、それ以上の欲求を持つことを禁止すること
  • E:他者の目を一切気にせず、組織の利益を無視して行動すること
【第27問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:欲求を否定することは成長を阻害するため不適切。
・B:マズローの自己実現欲求への移行には、外部からの評価(承認)から、自身の内的基準による評価(自律)へのシフトが重要であり、それが満たされて初めて自己実現に向かえるため正解。
・C:承認欲求を金銭に置換することはできず、本質的な自己実現にはつながらないため不適切。
・D:成長を止めることは組織として不適切。
・E:組織の利益と自己実現は両立し得るものであり、無視することは自己実現の定義から外れるため不適切。


問28:ハーズバーグの二要因理論において、衛生要因を整備するだけでは「モチベーションが向上しない」とされる本質的な理由は何か。

  • A:衛生要因はあくまで「不満を防止」する基盤であり、人間が本来持つ「成長・達成への意欲」を直接刺激するものではないから
  • B:衛生要因の整備には多額の費用がかかるため、モチベーション向上のために使う予算がなくなるから
  • C:衛生要因を整備すると、従業員が楽をし始めてしまうから
  • D:衛生要因が充実しすぎると、かえって自己実現欲求が退化するから
  • E:衛生要因を整備することは、従業員に甘い職場であると誤解されるから
【第28問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:二要因理論の核心は、不満をなくすこと(衛生要因)と満足を高めること(動機付け要因)が別物である点にあり、環境整備だけでは内発的動機付けに作用しないため正解。
・B:コストの問題ではなく、理論的本質の問題であるため不適切。
・C・E:衛生要因の整備は職場環境を整えることであり、直接的に楽をさせることや甘やかすことではないため不適切。
・D:衛生要因は自己実現欲求を退化させる要因ではないため不適切。


問29:目標設定理論において、難易度の高い目標が設定されているにもかかわらずパフォーマンスが低下する「目標の逆転現象」が起きる原因として、最も妥当なものはどれか。

  • A:目標が具体的すぎたため、従業員が指示に従いすぎたから
  • B:目標が達成不可能であると判断され、コミットメント(受容)が失われたこと、あるいはフィードバックが欠如して方向を見失ったから
  • C:報酬を現金で支払ったため、内発的動機付けが低下したから
  • D:目標設定が難しすぎて、逆にやる気が燃え上がったから
  • E:上司が部下を過剰に信頼しすぎて、部下が油断したから
【第29問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:目標が具体的であることはパフォーマンス向上に寄与するため不適切。
・B:目標設定理論では、目標が達成困難で現実的でないと判断されるとやる気を失い(コミットメント喪失)、かつ進捗のフィードバックがないと軌道修正できずパフォーマンスが低下するため正解。
・C:現金報酬が直ちに目標達成を妨げるわけではないため不適切。
・D:やる気が燃え上がればパフォーマンスは向上するため不適切。
・E:信頼はパフォーマンス低下の直接的要因ではないため不適切。


問30:アダムスの公平理論において、「貢献(インプット)」と「報酬(アウトプット)」の比率を考える際、従業員はどのような視点で比較を行っているとされるか。

  • A:自分がこれまで会社に支払ってきた会費と、会社の利益の比較
  • B:会社内の他者だけでなく、社外の類似職種や過去の自分との比較も含めた「相対的な評価」
  • C:全従業員の平均年収との比較のみ
  • D:社長の報酬との比較のみ
  • E:競合他社の社長の報酬との比較のみ
【第30問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:会費は公平理論のインプットではないため不適切。
・B:公平理論では、比較対象は社内の同僚に限らず、社外の他者や過去の自分自身(過去の経験との比較)など、多面的な基準を用いて公平性を判断しているとされるため正解。
・C・D・E:比較対象を限定する理由はなく、広範な視点で判断するためこれらは不適切。


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