企業経営理論 ⑩応用編_消費者行動論16問〜20問

問16:消費者行動において、消費者が意思決定を行う際の「認知的負荷(Cognitive Load)」を減らそうとする心理的メカニズムについて、最も適切なものはどれか。

  • A:すべての選択肢を詳細に比較検討し、最大の満足を得ようとする行動
  • B:情報収集を徹底的に行い、全ての選択肢のメリット・デメリットを書き出す行動
  • C:複雑な判断を避け、経験則(ヒューリスティック)や単純な意思決定ルールを用いて判断を簡略化する行動
  • D:判断をすべて他人に任せ、自分では一切考えないようにする行動
  • E:直感的な判断を避け、数理的な計算を用いて最適な選択肢を導き出そうとする行動
【第16問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:すべての選択肢を詳細に検討することは認知的負荷を最大化する行動であり、負荷を減らそうとするメカニズムの説明としては誤りであるため不適切です。
・B:情報収集の徹底は認知的資源を消費する行動であり、負荷を最小化しようとする行動とは逆方向であるため不適切です。
・C:人間は認知的リソースに限界があるため、複雑な意思決定場面ではヒューリスティック(直感的なショートカット)を用いて認知的努力を省こうとするため正解です。
・D:判断の他者への委任も一つの手段ですが、消費者行動論における認知的負荷低減の主要なメカニズム(心理的省力化)としては、ヒューリスティックによる判断簡略化が最も一般的です。
・E:数理的な計算は高度な認知的処理を必要とするため、認知的負荷を減らそうとするメカニズムとしては不適切です。


問17:消費者の「態度の変容」において、製品使用前の「広告(周辺的手がかり)」が持つ役割として適切なものはどれか。

  • A:製品の物理的特性をすべて論理的に証明すること
  • B:製品の性能に関する科学的なデータを提示すること
  • C:好ましい雰囲気やイメージを醸成し、製品に対する好感度(感情的な態度)を一時的に高めること
  • D:消費者の記憶を完全に書き換えること
  • E:価格を強制的に下げること
【第17問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:物理的特性の証明は中心ルートの役割であり、周辺的手がかり(広告の雰囲気など)の役割とは異なります。
・B:科学的なデータの提示は論理的な情報提供であり、周辺的手がかりの説明とは一致しないため不適切です。
・C:周辺的手がかり(ELMモデルにおける周辺ルートの要因)は、製品そのものの論理的な魅力ではなく、広告の視覚情報や雰囲気を通じて一時的に好感を高める役割を果たすため正解です。
・D:記憶を完全に書き換えるという効果は広告にはなく、誇大な説明であるため不適切です。
・E:価格操作はマーケティング・ミックスの価格戦略であり、広告の心理的役割とは異なります。


問18:消費者が製品を選ぶ際に、他の消費者の「使用体験談(レビュー)」を重視する心理的要因として最も適切なものはどれか。

  • A:自分自身の判断能力が低いと自覚しているから
  • B:企業の広告が嘘であると確信しているから
  • C:自分と類似した他者の体験を通じて、購入後のリスクや満足度を具体的に予測・シミュレーションできるから
  • D:レビューを読みたがっているだけであるから
  • E:他人の意見に従うのが社会的に正しいと洗脳されているから
【第18問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:判断能力の低さへの自覚がレビュー重視の根本原因という説明は心理学的に一般的ではなく、リスク低減の観点が主であるため不適切です。
・B:企業の広告をすべて嘘と見なしているわけではなく、広告の客観性に対する補完情報としてレビューを活用しているため不適切です。
・C:消費者は自分と境遇が近い他者の体験談を参考にすることで、自分が購入した場合の結果をシミュレーションし、意思決定の確実性を高めようとするため正解です。
・D:単に読みたがっているという欲求レベルの説明であり、消費者心理の深層にあるリスク低減メカニズムの説明としては不十分です。
・E:社会的洗脳という表現は極端であり、心理学的な合理的意思決定プロセスとしての説明とは異なるため不適切です。


問19:消費者行動において「確証バイアス(Confirmation Bias)」が購買意思決定に与える影響として適切なものはどれか。

  • A:自分の仮説や信じたい情報ばかりを集め、反証となる情報を無視または過小評価してしまうこと
  • B:他人の意見をすべて無条件に信じてしまうこと
  • C:新しい情報を常に疑い、批判的に評価し続けること
  • D:過去の記憶をすべて忘れてしまうこと
  • E:意思決定のスピードを極限まで速めること
【第19問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:確証バイアスは、自分の既存の信念や選択(例:このブランドが好きだ)を支持する情報を優先的に収集し、反対の情報(例:品質が悪いというレビュー)を無視・軽視する心理的傾向を指すため正解です。
・B:他人の意見の無条件な信頼は、社会的証明や同調行動に関連する現象であり、確証バイアスの定義とは異なります。
・C:情報を批判的に評価し続けることは確証バイアスとは逆の、客観的な情報処理プロセスを指すため不適切です。
・D:記憶を忘れるという現象は確証バイアスとは無関係です。
・E:意思決定のスピードアップはヒューリスティックに関連する現象であり、確証バイアスによる情報処理の偏りとは異なります。


問20:消費者行動論における「準拠集団の規範的影響(Normative Influence)」とはどのような作用を指すか。

  • A:集団のメンバーから「好かれたい」「認められたい」という欲求から、集団の期待や基準に自分を合わせようとする作用
  • B:集団のメンバーから知識を教わること
  • C:単に集団の活動に参加すること
  • D:集団のメンバーにお金を借りること
  • E:集団のメンバーと全く同じ場所で生活すること
【第20問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:準拠集団が持つ規範的影響は、集団のメンバーに認められたい、嫌われたくないという社会的報酬・罰への懸念から生じる同調圧力や行動変化を指すため正解です。
・B:知識の伝達は情報的影響に該当するものであり、規範的影響の定義とは異なります。
・C:集団への物理的な参加そのものは行動の一側面であり、集団からの期待に応えようとする心理的作用という定義とは異なります。
・D:経済的な交流は規範的影響の定義とは一致しません。
・E:物理的な生活環境の一致は規範的影響の必須条件ではありません。


コメント

タイトルとURLをコピーしました