企業経営理論④応用編コア・コンピタンス6問〜10問

問6:コア・コンピタンスの「多角化」における「シナジー(相乗効果)」とは、具体的にどのような状態を指すか。

  • A:複数の事業を単に合併させることで、組織の管理コストを削減すること
  • B:ある事業で培った強みを他の事業に活用することで、全体の競争力が単独の和よりも大きくなること
  • C:全事業が共通の広告代理店と契約することで、広告費を統一すること
  • D:不採算事業を切り離すことで、全社の平均利益率を高めること
  • E:従業員の報酬体系を全社で完全に同一にすること
【第6問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:コスト削減は合併の利点の一つだが、コア・コンピタンス経営で求める「シナジー」の本質は能力の活用による価値増大にあるため不適切。
・B:一つのコア・コンピタンスを複数の事業で共有することで、単独で事業を行うよりも効率的・効果的に競争優位を築ける状態がシナジーであり正解。
・C:広告費の統一はスケールメリットによる管理上の合理化であり、本質的な競争優位のシナジーとは異なるため不適切。
・D:ポートフォリオの最適化ではあるが、強みの活用によるシナジーというコア・コンピタンスの定義からは外れるため不適切。
・E:報酬体系の統一はシナジーの直接的な結果や定義ではないため不適切。


問7:コア・コンピタンス経営における「技術と市場の接点」の捉え方として、最も適切なものはどれか。

  • A:現在の技術を磨き続け、その技術が好まれる市場のみに固執する
  • B:顧客のニーズだけを追いかけ、技術的な制約は外部委託で解決する
  • C:自社の核心的な技術能力を軸に、それが解決できる顧客の新しい課題(市場)を常に探索する
  • D:市場のトレンドに合わせ、自社の技術をその都度全面的に入れ替える
  • E:技術的な優位性を維持すれば、市場のニーズは自動的についてくると考える
【第7問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:技術への固執は陳腐化リスクを高め、市場機会を失うため不適切。
・B:技術の重要性を軽視し、自社の強みを捨てることに等しいため不適切。
・C:コア・コンピタンス経営では、技術(強み)を基点にしつつ、それが応用可能な新たな市場・顧客ニーズを発見・創造するプロセスが重要であるため正解。
・D:全面的に入れ替えることはコア・コンピタンス(長年蓄積された強み)の放棄であり不適切。
・E:技術力があっても、市場が求める価値に結びつけなければ成功しないため不適切。


問8:コア・コンピタンスの「模倣困難性」を強化するために、企業が「あえて情報を開示しない(隠蔽する)」戦略をとることの是非はどう判断されるか。

  • A:常に全ての情報を公開すべきであり、隠蔽は倫理的に許されない
  • B:核心的なコンピタンスが「暗黙知」である場合、言語化・可視化を控えることは競争優位維持の戦略として有効である
  • C:情報は公開しても、他社は模倣できないため開示・隠蔽は無関係である
  • D:公開した方が競合他社が混乱するため、常に公開戦略をとるべきである
  • E:政府の法規制により、全ての企業情報の隠蔽は全面的に禁止されている
【第8問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:競争戦略上、全ての情報の開示義務はないため不適切。
・B:形式知化(マニュアル化など)すると競合に真似されやすくなるため、暗黙知としての特性を維持するために戦略的に情報を制限することは競争優位維持の重要な手法であるため正解。
・C:公開された情報からリバースエンジニアリング等で真似されるリスクは常にあり、無関係ではないため不適切。
・D:公開が競合を混乱させる保証はなく、自社の優位性を捨てるリスクが高いため不適切。
・E:企業秘密の保持やノウハウの秘匿は法的にも正当な経営戦略であり、全面的に禁止されているわけではないため不適切。


問9:多角化戦略において「関連多角化」と「非関連多角化」のどちらがコア・コンピタンス経営に適しているか。

  • A:リスク分散の観点から「非関連多角化」が常に推奨される
  • B:単一の市場に集中すべきであり、多角化は避けるべきである
  • C:コア・コンピタンスの活用によるシナジーが期待できる「関連多角化」が適している
  • D:どちらも優劣はなく、会社の規模によって機械的に決まる
  • E:IT企業は非関連多角化、製造業は関連多角化と決められている
【第9問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:非関連多角化はシナジーを生みにくく、経営資源が散漫になりやすいためコア・コンピタンス経営の視点からは優先度が低い。
・B:応用範囲を広げることによる成長も重要であり、多角化自体を避ける必要はないため不適切。
・C:自社の持つ中核能力(コンピタンス)を横展開できる関連分野への多角化こそが、コア・コンピタンス経営の強みを最大限に活かせるため正解。
・D:戦略的整合性によって判断されるものであり、機械的な決定は不適切。
・E:業種によって決まるものではなく、あくまで自社の持つ強みとの親和性で判断されるため不適切。


問10:コア・コンピタンス経営において、市場シェア(市場占有率)はどう評価されるべきか。

  • A:市場シェアが最大であることだけが唯一の成功指標である
  • B:市場シェアはあくまでコア・コンピタンスによって価値を提供した結果であり、目的そのものではない
  • C:市場シェアを確保すれば、コア・コンピタンスは自動的に構築される
  • D:市場シェアが低くても、コア・コンピタンスさえあれば利益は二の次である
  • E:市場シェアとコア・コンピタンスの間には全く関係がない
【第10問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:シェア至上主義は短期的な価格競争を招きやすく、コア・コンピタンス経営の目指す独自価値とは異なるため不適切。
・B:優れたコア・コンピタンスに基づく製品・サービスが顧客に支持されることで、結果として高いシェアが得られるという因果関係であるため正解。
・C:力ずくのシェア確保は能力(コンピタンス)の構築とは別物であるため不適切。
・D:利益は企業存続の基本であり、二の次でよいという考え方は経営として不適切。
・E:顧客からの支持(シェア)は強みの実証にもなり、密接に関係しているため不適切。


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