企業経営理論④応用編コア・コンピタンス1問〜5問

問1:VRIN分析における「模倣困難性(Inimitability)」の源泉として、最も適切なものはどれか。

  • A:最新の特許技術(法的保護があるが回避設計や期限切れのリスクがある)
  • B:他社が発見しにくいサプライヤーとの独自の長期契約
  • C:企業の歴史的文脈や独自の組織文化
  • D:多額の広告宣伝費による高いブランド認知度
  • E:労働市場から即座に採用可能なスキルを持つ人材
【第1問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:特許は重要な法的保護手段だが、回避設計(設計回り)・クロスライセンス・存続期間の限界があるため、組織文化・歴史的蓄積ほどの根本的な模倣困難性は持ちにくく不適切。
・B:独自の長期契約は競争優位の一要因だが、競合他社も類似の契約を結ぶ可能性があり組織文化ほどの模倣困難性はないため不適切。
・C:企業の歴史的な発展過程(経路依存性)に基づく組織文化は、他社が同じ歴史を歩むことが不可能なため模倣困難性の最も強固な源泉として正解。
・D:広告費は資金力のある競合が同様の投資で模倣可能であり、模倣困難性の根本的な源泉とはならないため不適切。
・E:労働市場から採用可能な人材は競合も同様に採用できるため稀少性・模倣困難性を持たず不適切。


問2:「組織的ケイパビリティ(Organizational Capability)」が競争優位を生む論理的なプロセスとして、最も適切なものはどれか。

  • A:個人の卓越したスキルを単に積み上げることで、組織の優位性が自動的に生まれる
  • B:経営資源を統合し、組織特有のルーチンとして定着させることで他社が真似できない価値を生む
  • C:外部のコンサルタントによる業務改善指導を徹底することで、競争優位が確立される
  • D:ITシステムを導入して業務を自動化するだけで、組織的ケイパビリティは構築できる
  • E:競合他社のベストプラクティスをそのまま導入することが最短の構築方法である
【第2問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:個人のスキルを足し合わせても、組織として機能しなければ競争優位にはつながらないため不適切。
・B:組織的ケイパビリティとは、個々の資源を組織として有機的に結合させ、日常のルーチンとして磨き上げることで生まれる模倣困難な能力であり正解。
・C:外部知見の導入はきっかけに過ぎず、内部での定着化がなければ優位性にはならないため不適切。
・D:IT導入は手段の一つであり、それだけで組織の強みとなるわけではないため不適切。
・E:他社の模倣はあくまで追随であり、独自の強みにはなりにくいため不適切。


問3:コア・コンピタンス経営における「経路依存性(Path Dependency)」とは何か。

  • A:過去の成功体験に縛られて、環境変化に対応できなくなること
  • B:特定の技術を選択したことで、将来の選択肢が限定されていくこと
  • C:企業の競争力が、これまでの歴史的な蓄積や経験に制約・依存していること
  • D:競合他社と同じ道を歩むことが最もリスクが低いという理論
  • E:売上高や利益が過去のトレンドに依存して推移すること
【第3問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:これは「成功の罠」の説明であり、経路依存性のポジティブな側面(蓄積による優位)を含まないため不適切。
・B:特定の技術選択による影響は経路依存性の一部だが、能力蓄積全体を指す定義としては狭すぎるため不適切。
・C:現在の強みは一朝一夕にできるものではなく、過去からの投資や学習の蓄積の結果であり、その歴史が模倣困難性を生むことを指すため正解。
・D:経路依存性は他社と異なる独自の道を歩むことを前提とするため不適切。
・E:財務的数値のトレンドではなく、能力の形成プロセスを指す用語であるため不適切。


問4:コア・コンピタンスの「希少性(Rarity)」を維持するために企業がとるべき行動はどれか。

  • A:競合他社が模倣しやすい汎用的な技術に投資する
  • B:独自の知識共有プロセスや、社内独自の知見蓄積を継続する
  • C:市場で最も一般的なトレンドに迅速に従う
  • D:他社が模倣可能な標準化された製品のみを販売する
  • E:希少性を高めるために、情報発信を一切やめる
【第4問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:汎用技術は希少性が低いため不適切。
・B:組織独自の知識や知見を継続的に磨き、蓄積することで、他社が容易に追いつけない状態(希少性)を維持できるため正解。
・C:トレンドへの追随は差別化を弱める可能性があるため不適切。
・D:標準化された製品は模倣されやすく、希少性を生まないため不適切。
・E:情報発信と希少性は別の議論であり、適切に戦略を立てるべきであり不適切。


問5:コア・コンピタンス経営において、リソース配分の優先順位はどのように決めるべきか。

  • A:現在の売上高が最も高い事業に、全リソースを集中させる
  • B:最も将来性が高く、コア・コンピタンスを活かせる事業に優先的に配分する
  • C:すべての事業に平等にリソースを分配する
  • D:外部の流行に合わせ、最も注目されている事業に配分する
  • E:過去の投資額が最も大きい事業を最優先する
【第5問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:過去の売上は現在までの成果であり、将来の競争優位を築くための配分基準としては短期的で不十分。
・B:コア・コンピタンス経営の要諦は、自社の強み(コンピタンス)を最も活用でき、かつ成長が見込める領域にリソースを集中させることにあるため正解。
・C:非効率的であり、競争優位を築けないため不適切。
・D:流行は一時的な可能性が高く、自社の強みとの整合性が不明なため不適切。
・E:サンクコスト(埋没費用)に囚われており、経営判断としては不適切。


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